出版社内容情報
先史人の残した洞窟絵画からはじまって紋章,暦,アルファベットと数字,紙と印刷術,広告,漫画,はては映画,テレビにいたるコミュニケーションの発達が,歴史の進歩にいかに貢献してきたかを解き明かす.「百万人の数学」の著者として名高いホグベン(1895‐1975)が人類の存続と繁栄の願いをこめてつづったユニークな世界文化史.図版多数.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
22
題名から、人類の絵画表現の歴史を辿る、軽めの本かと思って入手した。 が、むしろ、副題の「人間コミュニケーションの万華鏡」が内容を示している。洞窟絵画も、単に表現衝動に駆られ描かれたのではなく、人に伝える意志こそが意味を持つという。そのコミュニケーション上の表現方法(手段・道具)が時代と共に、ドンドン変わっていく。2018/10/25
Nemorální lid
5
『一九四九年という、非常に早い時点にあらわれた、コミュニケーションに関する大著』(解 p.311)として名を馳せる当著が先駆的な意義を持つのは言うまでもないだろう。人間が洞窟に壁画を描き始めた時、『文明がいまや神聖なる沈黙をもってはじまる。文明は進化ではない。それは最も高度に教育され得る動物の自己教育の記録である』(p.18)ことが必然的に明らかにされた。そこから暦や数字、紙や印刷術、そして漫画からテレビへ。人の歴史に於いてコミュニケーションが如何なる形だったのか理解出来る内容なだけに、とても面白かった。2019/01/05