出版社内容情報
トロヤ戦争の物語を絵本でよんだ少年シュリーマンは美しい古都が必ず地下に埋もれていると信じその発掘を志す.長年にわたる猛烈な勉強と経済的苦闘の結果ついに独力をもってトロヤ,ミケネの発掘事業に着手,少年の日の夢は実現して多くの遺跡を発見,考古学,美術史学界に莫大な貢献をした.これはその生涯と事業の克明な記録.
内容説明
トロヤ戦争の物語を絵本で読んだ少年シュリーマン(1822‐90)は、美しい古都が必ず地下に埋もれていると信じその発掘を志す。長年にわたる猛烈な勉学と経済的苦闘をへて、ついに独力でトロヤの遺跡を発見、少年の日の夢を実現する。いかなる環境にあっても自己の目標と希望を見失わず努力しつづけた意志と情熱の生涯が小説以上の面白さで語られる。
目次
1 少年時代と商人時代(一八二二‐六六)
2 最初のイタカ、ペロポネソス、トロヤ旅行(一八六八‐六九)
3 トロヤ(一八七一‐七三)
4 ミケネ(一八七四‐七八)
5 トロヤ、第二回と第三回発掘(一八七八‐八三)
6 ティリンス(一八八四‐八五)
7 晩年(一八八五‐九〇)
8 シュリーマン略年譜
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
優希
92
面白かったです。トロヤ戦争の物語を絵本で読んだことから、古い都市が地下に眠ってると信じ続け、その結果、独力でトロヤとミケーネ遺跡を発見したシュリーマン。少年の頃の夢を実現するために、自分の目標と希望を失わずに努力を重ねた意志の強さが世界史的大発見を実現するのに至ったのが凄いところだと思わされます。シュリーマンが成し遂げた功績は、そこに行き着く過程も含め、まさに「古代への情熱」と言うに相応しいでしょう。自分が情熱を注ぐほど好きなことは、その努力により実るということを、彼の人生を通して教えられた気がします。2016/10/03
Tonex
43
ロシア語を勉強したエピソードのみ再読。▼28頁にロシア語を「六か月」で習得した旨書かれているが、新潮文庫の『古代への情熱』を見たら「六週間」と書かれている。どちらが正しいのか?▼他にも英語を勉強したエピソード(25頁)で、岩波文庫は「決して翻訳しないこと」「毎日一時間をあてること」となっている部分が、新潮文庫では「ちょっとした翻訳をすること」「毎日一回は授業を受けること」となっている。誤訳なのか解釈の違いなのか?2016/06/24
akira
32
まちライブラリー森ノ宮本。 ふと目に入った一冊。トロヤ戦争やミケネ、合わせてホメロスへの興味も掻き立てられる。ひと昔前のアニメでは古代文明や神々の兵器などがよく出てきたが、ちょうど発掘ブームの時期だったのかも? 人間の直感。理由なく生まれるその感覚というのは、思った以上に行動原理に作用する。論理では説明できないものから生まれたものには、情熱の熱量が大きくなるのかもしれない。 「トロヤは実在するという確信が、多事な私の人生行路のあらゆる変転のうちにあっても、決して私を見棄てなかった」2020/01/25
Willie the Wildcat
30
幼い頃の夢、トロイ。日々、目の前のことに没頭、時間に追われるも、常に夢は頭に・・・。強い思いと意思が、夢につながる。習得した言語の数はもちろん、習得に要した時間。そして、44歳で考古学!学びに年齢は関係ない!印象的なのが、ホメロスの詞を心の拠り所にしている点。夢が繋がっている印象。後に、一部の功績に批判がでるも、木を見て森を見ず。考古学はもちろんだが、人間学でも興味深い。蛇足だが、ミナとの初恋の夢だけが、成就できない点に人生の儚さも感じる。2013/10/18
おおにし
22
昔から青少年向けの推薦図書として紹介されていて名前は知っていたのですが読むのは今回初めてです。シュリーマンが幼いころトロヤ戦争の絵本を読んで、これは作り話ではなくトロヤは実在すると信じ最後に遺跡を発掘するまでの成功物語はとても面白いですが、実はシュリーマン自身の創作もあったようですね。15か国の言語をマスターしたというのも怪しいらしい。それを知ってても読む価値ありました。今回読んだ動機はトロヤの次に発掘したミケネの遺跡を実際に見学したからですが、挿絵にある獅子門の実物を見ることができて感動しました。2019/10/12