出版社内容情報
『古寺巡礼』『風土』などの著作を通じて,ひろく世に親しまれてきた和辻哲郎(一八八九―一九六〇)は,第一級の随筆の書き手でもあった.和辻のエッセイは,彼の発想と思索の原点を端的に示して,学問的著作理解のよき補いとなるだけでなく,平明な文体で読書の楽しみを堪能させてくれる.「面とペルソナ」「埋もれた日本」等二五篇を精選.
内容説明
『古寺巡礼』『風土』などの著作を通じて、ひろく世に親しまれてきた和辻哲郎は、第1級の随筆の書き手でもあった。和辻のエッセイは、彼の発想と思索の原点を端的に示して、学問的著作理解のよき補いとなるだけでなく、平明な文体で読書の楽しみを堪能させてくれる。「面とペルソナ」「埋もれた日本」「巨椋池の蓮」等25篇を精選。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
リタ
17
「何かしら書かないでは済まない理由があって書いた」。ここにおさめられた文章は、和辻さんのそんな気持ちが込められた必然の言葉たちです。伝えずにはいられない。残さずにはいられない。無色透明の熱。その想いを私が受け取れたのもまた必然なのでしょう。私には難解な部分もありました。けれどわからないからわかってしまう瞬間があるのには驚きで。あまりに唐突にストンと納得が降りてくるんです。これは彼の感性や言葉が読者とシンクロするから。ことばの不自由さを逆手にとった、ことばでしか表せない“感触”を体感させてくれる随筆集です。2015/03/13
モリータ
11
◆積読本を青空文庫で。前半(Ⅰ、Ⅱ)の美術・歴史に関わる諸篇より、「夏目先生の追憶」を初めとする人物ものの随想(Ⅲ)や、風物をからめた「巨椋池の蓮」「京の四季」「松風の音」(Ⅳ)を面白く読んだ。これらでは特に、文章の明晰さと書かれるものに対する筆者のあたたかな眼差しが感じられてよい。2020/01/31
Ex libris 毒餃子
10
『仮面の解釈学』のフォローとして。2022/06/26
Haruka Fukuhara
6
面とペルソナ、能面の様式、世界の変革と芸術、アフリカの文化など印象的だった。苅部先生が取り上げていた土下座も所収。坂部恵編・解説。解説の文章も興味深かった。1995年刊。2017/02/24
go
4
なんか勝手なイメージで結構後の人かと思ったらそんな事なくて、芥川龍之介より三歳年上だとは驚いた。晩年の漱石とも接している。古寺巡礼とか風土も読んでみようかなと思っていたが、もう少し先かなーと思った2021/03/30