出版社内容情報
死後,魂はどこへ行くのか.本書は,宇宙の開闢から天・地・泉の生成と形象,その過程を貫く神々の功業を明らかにし,それにより死後の霊魂の行方を知って「心の安定(しずまり)」を得られると説き,国学的宇宙論の新たな展開を示す.
内容説明
古学の徒は大倭心を堅固にもつことが肝要であり、そのためには「霊の行方の安定」を知る必要がある。そこで、宇宙の開闢から天・地・泉の生成とその形象を、十箇の図と古伝により説明し、その過程を貫いている神々の功業を明らかにして、霊魂の行方を論じた書。篤胤の幽冥観を確立し、国学的宇宙論に新たな展開をもたらした重要著作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
双海(ふたみ)
19
「古学の徒は大倭心を堅固にもつことが肝要であり、そのためには「霊の行方の安定」を知る必要がある。そこで、宇宙の開闢から天・地・泉の生成とその形象を、十箇の図と古伝により説明し、その過程を貫いている神々の功業を明らかにして、霊魂の行方を論じた書。篤胤の幽冥観を確立し、国学的宇宙論に新たな展開をもたらした重要著作。」(本書紹介文より)2015/02/19
KUMAGAI NAOCO
1
国学の四大人(しうし)の1人、平田篤胤の代表作。古事記、日本書紀、万葉集から師の本居宣長の古事記伝まで、あらゆる書物を読みまくって日本の成り立ちを明らかにすることで日本人の「霊(たま=心)の行方(ゆくえ)の安定(しずまり)」を解いた本。現代人でも読みやすい仮名遣いやルビが振られてるとは云え、まるで古文の教科書読んでるみたいだった。旧約聖書や仏教、中華思想は神道の訛(よこなまり)だととんでもない事も言っているが、これが明治以降の復古神道&大日本帝国主義の礎になったのかと思うと恐ろしい。まあ面白かったけど。2022/04/12
shunkichi
1
もう一度古事記とかあわせて読みたいと思った。神代のなかでいかに世界がつくられていったかが、ビジュアルで詳しくわかるのがすごい。神道入門にもよいのでは。聖書とか、地動説とか、けっこういろんな話が入っている。2013/06/08
ymazda1
0
日本神話の時代なんて、学会とか学説とかがどんだけ意味を持ってるんかよくわからんなと感じるだけに、その昔、ここまで勝手気ままに考えた人がいたってのは、読んでて、ちょっと楽しかった。
bittersweet symphony
0
1813年(文化10年)に刊行された平田篤胤の代表作(当時30代後半)。1998年11月に子安宣邦(1933-)さんの校注により刊行されたもの。篤胤著作で文庫で読めるものはほとんどない状態のようです。記紀の神代を中心とした宇宙観を本居宣長の仕事を継承(一部批判もあり)しつつ概説する内容。仏・儒、インドや中国のコスモロジーも視野に入れつつ、までは想定していましたが、創世記・旧約聖書の内容も比較論的に言及しているのは、江戸時代の西洋知識の受容の実態が常識化されている今でもちょっとした驚きは無きにしも非ずか。2013/02/28