出版社内容情報
アンデルセン(一八〇五―七五)の童話は,決して口あたりよい砂糖菓子のようなものではない.「私が書いたものはほとんどが私自身の映像である」と『自伝』のなかで述べられているように,どんな空想的な話のなかにも,作者の生きた波瀾の人生の一片が封じこめられていて,おとなであれ子どもであれ,読む者の心を強くゆさぶる.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Tomoko.H
8
トールヴァルセンて?…彫刻家とな、この作家はずい分尊敬してるけど、知らなかった。アンデルセンのが有名。長めの『砂丘の物語』『氷姫』旅したり、いろいろあって…やっぱり悲劇。まあこの世はままならないものだけれどね、それにしてもなんだろ、今生での幸福なんてないのだって言う人生観なの?2022/05/20
風太郎
5
『氷姫』という長い童話が載っています。悲しい終わり方になっていて、その話を読み始めた時から、その結末は予想されていたものでした。今の子供たちが読む童話は、ほとんどがハッピーエンドで締めくくられていますが、当時の子供たちは悲しい結末を知った時、どう思ったんでしょうね? アンデルセンは世の中は不条理なものだということを、知ってもらいたかったのか、悲しさに寄り添う気持ちを育んでもらいたかったのか。それにしても、悲話を受け止められる子供って心が大人ですよね。自分が子供だったら恐らく納得してなかったかも。2017/09/30
paumi
2
アンデルセンの童話は最後まで読まないと結末がわかりませんなぁ…。終盤までうまくいっていても、最後の1,2ページでどんでん返しが来るお話もある。登場人物(おもに主人公)の報われない恋や孤独な生活はアンデルセンそのものを表しているんだろう。優しい雰囲気だけど優しくないお話し。アンデルセン童話は大人向けなんだなぁと感じさせられる。2016/02/21
takeakisky
1
渾身の氷姫。氷姫に魅入られたルーディの美しくも悲しい夢のような中篇。ほかに詩人の痛々しくも希望に満ちた宣言、新しい世紀のミューズ。2024/02/03
茅野
1
後半は長めの『氷姫』だが、相変わらず題になっている姫よりも人間の男性の話が主軸。 こちらも長めの『砂丘の物語』には、スペイン・ポルトガル方面からロシアに向かう船はデンマークの方へ流される、という話があるが、確かに19世紀の船旅だとそういうケースも確認している。この辺りは事実に基づく描写なのかもしれない。2023/11/17