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岩波文庫
月曜物語

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  • サイズ 文庫判/ページ数 300p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003254233
  • NDC分類 953
  • Cコード C0197

出版社内容情報

第一部は幼ない心に映じた敗戦国の悲哀を写した名編「最後の授業」を最初に,物語の舞台を普仏戦争及びコンミューヌ当時のパリとアルザスにとり,人情の機微,深刻な諷刺を詩趣豊かな文章に託し,第二部は多くの幻想や追憶を音楽的抒情的な筆致に託して,まだ見ぬ日本へのあこがれを語る「盲目の皇帝」に終る.一八七三年.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

のっち♬

112
1873年発刊掌編41篇。普仏戦争の体験に基づく見聞が中心。政策による言語教育の変化を描く『最後の授業』は名編。主役に"フランス語をやっと書けるくらい"のドイツ系少年を配した設定が出版事情に留まらない歴史背景を暗示する。時計が町に狂気を撒き散らす『ブジヴァルの置時計』、進軍する気がないのに盛り上がる『タラスコンの防御』、戦争をばかにしきった素人俳優諸氏と南仏の風変わりな真面目さや喧騒好きに注がれる眼差しは温かい。シーボルトとの関係を描いた『盲目の皇帝』、アルジェリアからの影響も著者のジャーナリズムの賜物。2023/12/19

nobi

73
「最後の授業」は仏語の授業で読んだはず。懐かしい。この語り手を先生にすることもできたのに、よく遅刻する少年をドーデは選んだ。彼が学校に駆けてゆく最初の数行と独立した一文「空はよく晴れて暖かった!」で物語に引き込まれてしまう。その後も改行しての短いフレーズが重要な役割を持って、この一日を鮮やかに浮かび上がらせる。« VIVE LA FRANCE ! »しかり。他に「少年の裏ぎり」「アルザス!アルザス!」が印象的。戦争の虚しさを描いた物語も多いけれどいずれも描写は具体的。ドーデはきっと健やかな好奇心の持ち主。2020/08/07

ソングライン

23
普仏戦争に敗れ、パリ攻囲を受けた時代のフランスの庶民の生活を描く小編集です。戦争に負けアルザス地方を去らねばならないフランス語教師の悲哀を描く「最後の授業」、銀貨を得るために敵に情報を売る少年に身をもって過ちを正す父親が切ない「少年のうらぎり」が印象にのこる、戦争により狂ってしまう庶民のはかない運命、実直な揺るがない愛国心の悲しさが丁寧に描かれる作品集です。2021/03/16

あたびー

11
子供の頃に読んだ「金の脳みそを持つ男」を読みたかったのだが、それは「風車小屋だより」に入っていることがわかった。まあ、取り敢えず。第1部「幻想と物語」には、有名な「最後の授業」を始め普仏戦争当時を題材にした物語を中心に収められている。第2部「空想と追憶」には、パリの暮らしの中で拾った小さな話が多いように思う。何れも人生の悲哀とそれに翻弄される人々の暮らしを物悲しく書いたものが多く、一昔前の日本人が特に好んだペーソスにあふれている。「盲目の皇帝」はシーボルトとの交流を描いた話。2018/12/02

Nemorální lid

9
普仏戦争やコミューンへの諷刺によって構成された当著は人口に膾炙されている。中でもやはり、冒頭の『最後の授業』は嘗て日本の教科書にも載った具合である。敗戦国の悲惨さを緻密な構造で綴るドーデーの世界は優しくも残酷だ。しかし、何処と無くフランスへの愛国精神を前景的にうっすらと満遍なく広げるが、故に偏りがあると言うのも事実だ。特に『最後の授業』の舞台アルザスではドイツ語から派生したアルザス語が話されるが、教育でフランス語が押し付けられている事が省かれている。イデオロギー故に略す事は如何なものか、と考えさせられた。2018/06/17

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