出版社内容情報
あまりにも名高いこの不朽の名作の表題レ・ミゼラブルとは「悲惨な人々」という意味.ユーゴーは主人公ジャン・ヴァルジャンの波瀾の一生を描きつつ,貧しい民衆に寄せる限りなき愛情,そして人類社会の進歩へのゆるがぬ確信を表現したのである.三百枚に及ぶ原書挿絵を収録.
内容説明
貧しさにたえかねて一片のパンを盗み、19年を牢獄ですごさねばならなかったジャン・ヴァルジャン。出獄した彼は、ミリエル司教の館から銀の食器を盗み出すが、神のように慈悲ぶかい司教の温情は翻然として彼を目ざめさせる。原書挿絵2百枚を収載。
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
141
長い監獄生活で社会への憎悪を募らせたバルジャンは司教の情愛により改心し、市長の座に登り詰める。社会的永罰を被りながら常に「正しい人」であろうとする彼の葛藤や立ち回りが全体の求心力であり、銀食器をめぐる懊悩から次第に求心力が増す。1巻から運命の無情な恐慌に陥った"哀れな人々"にフォーカスしてゆくのだが、その中にナポレオンまで含まれているのが著者らしいところ。ワーテルローへ壮大に脱線しつつ、最後に本筋と絡ませる点が心憎い。「それらのことを作り出したのは社会であるから、社会はまさにそれらのことを見るべきである」2018/05/20
NAO
74
ジャン・ヴァルジャンが、フォンテーヌに、コゼットを助けると約束するまで。冒頭から長々とミリエル司教のすばらしさが描かれるのは、つまりそれだけ、ミリエル司教の慈悲がほかの者たちにはできないことだということ。その後ミリエル司教を模して善行を積むも、過去がジャン・ヴァルジャンを執拗に追いかけてくる。法の忠実な執行人ジャヴェルの爬虫類的な追跡が始まる。2017/08/04
i-miya
72
2014.02.24(01/26)(つづき)ユーゴー著。 02/24 (P319) 年とった一人の婆さん、彼女に、貧乏の中で暮らす方法を教えてくれた。 それは、二室あって、一つは薄暗い部屋、一つは真っ暗な部屋。 正面の窓の明かりで食事をすれば、ロウソクの節約になる、倹約。 少し元気を取り戻した。 五時間眠り、あとは針仕事。 悲しいときは、少ししか食べないですむ。 そのマルグリットという婆さん。 聖(きよ)い独身者、立派な信仰、貧乏ではあるが、金持ちにまで恵深い。 2014/02/24
nakanaka
70
映画でしか触れたことのなかった世界的な作品。ここまで長く、深い作品だったとは。結構長めにミリエル司教について描かれていて驚きました。彼についてのスピンオフが出来てもおかしくなさそうなくらい偉大で影響力が大きい人物でした。また更生する前のジャン・バルジャンがとんでもなく凶悪な人物であったと描かれていますが、その点がイマイチ理解できませんでした。確かに脱獄を何度も繰り返すのはいけませんが。ただ単にジャベルが異常なまでの正義の人であったがために妄想が膨れ上がったということなのか。第2巻へ。2023/12/04
i-miya
67
2014.01.12(12/26)(つづき)ユーゴー著。 01/10 (p318) 九.ヴィクチュルニャン夫人の成功。 このように修道士の未亡人も何かの役に立っているという事である。 しかし、マドレーヌ氏は、そういうことについては、何も知ってはいなかった。 マドレーヌ氏は女の仕事場には入らないことにしていた。 彼はその仕事場の頭であった。 その仕事場の監督のすべてをその独身老嬢にまかせた。 2014/01/12