出版社内容情報
大都会の片隅で豺狼の群にとり囲まれ,なぶり殺し同様の死をとげる老音楽家,間もなくそのあとを追う親友の悲歎と思慕,パリ生活の表裏を冷酷無残に描きながら,なお作者の眼底に熱い涙のあることを思わせる小説である.バルザックの小説のうち,「従妹ベット」とならび称される傑作中の傑作である.
内容説明
貧しい老音楽家ポンス―かつては脚光を浴びた新進音楽家で美術品収集家―は貪欲な人々の食い物にされて…。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
kaze
7
(私が読んだのはグーテンベルグ21版だけど、登録がなかったので、こっちで。)老音楽家の悲劇、というか老蒐集家の悲劇。上巻は主な登場人物の立場や性格の紹介と、これから起こるポンスのコレクションを巡る遺産相続争いの伏線となる出来事を丁寧に取り揃え、開陳したところで終わる。細工は流々あとは仕上げを御覧じろ的な。シボのおかみさんの闇堕ちがこの巻の見どころ。大金が目の前にチラつくと人間ってコロッと変わっちゃうんだなあ。 2021/09/23
モリータ
7
おもしろかった!2014/12/25
rinakko
6
貧しい老音楽家のポンスは、骨董美術品の愛好家にして、実は人知れぬ優れた目利きだった…。まず、蒐集家に特有な性がどんな風に描かれているのかなぁ…とか、そんなところに関心もあって手にとった作品。己が見出した美(必ずや、掘り出し物のそれでなければならない)への執着ぶりも、その矜持も、蒐集の為に僅かな収入を注ぎ込む生活ぶりも、その結果として傑作のコレクションを持つことになったという話も、親戚筋を渡り歩いてご馳走にありつく習慣も(おい)、話の導入の部分で触れられていてとても面白かった。のだが…。2014/02/20
もといま。
5
復刊されていたのを見つけて、鬼の首を取ったように勇んで購入。おいしい晩餐にありつくために屈辱を受けても親戚めぐりをやめない主人公。骨董品の目利きでもあるが、周囲には理解されない。みじめな晩年が、このあとさらにみじめになっていくであろうことが予測でき、あわれでならない。門番のおかみさんがだんだん本性を表してくるのもおそろしい。2013/12/15
α0350α
3
数年前に読んだ「従妹ベット」のことは全く覚えてないので話が繋がっているのかわかりません。夕食をご馳走になることで生活しているポンスの暮らしぶりが昔っぽくて良いですね。この人の良い老人がひどい目にあうというのはこの先読むのが辛そうです。2014/06/20