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岩波文庫
ファウスト博士 〈上〉

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  • サイズ 文庫判/ページ数 304p/高さ 16cm
  • 商品コード 9784003243442
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

出版社内容情報

現代のファウストに擬せられる一天才作曲家の,芸術家としての悲劇的生涯に托して作者が追求するものは何なのか.芸術の不毛と孤立とを娼婦からの病毒感染による霊感という「悪魔との契約」によって乗りきろうとして破滅する主人公.ナチズムの毒に冒され破滅へむかってつき進むドイツ,重い時代の流れがたくみに描かれる.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

パオー

10
20世紀ドイツ文学の傑作に数えられる作品なのにあまり読まれていない理由を、読み始めてすぐに悟る。僕の無教養さもあるけど、勘弁してくれよと言いたくなるくらい読みにくい。なんだその回りくどさはと言いたくなる文体。何の話だよと言いたくなる音楽や神学の議論。理解できなくて多分ほとんどの文章を二回ずつ読んだ。にもかかわらず途中で放棄しようとは一度も思わなかったのは、読んでいて面白かったから。僕にはまだ早かったではなく、この小説を読んでレベルアップしてやると思わせてくれるのは、トーマス・マンの力なのか僕の見栄なのか。2013/01/03

てれまこし

6
神の近づくために悪魔に魂を売ったファウスト博士。そのようなところがドイツにはある。カント、ゲーテ、ベートーヴェンの国とヒトラーの国という二つのドイツがあるのではない。どちらもドイツである。高尚な文化や教養への憧憬がルターのような原理主義者の野人に覆される。これがドイツの歴史。しかし、この野蛮で情熱的な原理主義があるからこそ、あの哲学、文学、芸術も生まれる。自らドイツ的と自覚し、この矛盾するようなドイツ性を潔く引き受けようとするマン。おかげで難解なドイツ思想の意味が少しわかってきたような気がする。おすすめ。2018/12/04

ヤクーツクのハチコ

3
冒頭からトマス・マン節炸裂。二十世紀の二つの大戦間を生きたドイツの作曲家の話という煉瓦並に固い背景に大好きな内容がてんこ盛りに詰め込まれてそしてトマス・マン節だから非常に楽しい。作中の音楽解説を読んでベートーベンピアノソナタ32番を借りに走り、たまたまアンドラーシュ・シフを選んだところ付属のシフによる作品解説でこのファウスト博士に言及してあり嬉しかった2015/05/31

ソングライン

2
天才音楽家アドリアン・レーヴェルキューンの伝記を幼馴染の哲学博士が回想する伝記として書かれた小説です。古典音楽や和音の解説、さらに神学、哲学が語られる本作は魔の山以上の難解さでした。中巻の山を越えられるでしょうか。  2016/05/20

DEN2RO

1
三度目の通読。10年前に比べてドイツの民族性や神学の話についていけないのはこちらが老化したせいなのか。その反面、主人公の人柄が前より逞しくしたたかに思われるのは、悪魔と結ぶ人生を敢えて選ぶ青年の覚悟に恐れ入るという老人性の悟りからだろうか。中巻に続く。2023/09/20

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