岩波文庫
水妖記 - ウンディーネ (改版)

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  • サイズ 文庫判/ページ数 168p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003241516
  • NDC分類 943
  • Cコード C0197

出版社内容情報

湖のような青い瞳,輝くブロンド.子供をなくした老漁夫のもとにどこからか現われた美少女ウンディーネは,実は魂のない水の精であった.人間の世界にすみ,人間の男と愛によって結ばれて,魂を得たいとねがったのだ.――ヨーロッパに古くから伝わる民間伝承に材をとった,ドイツロマン派の妖しくも幻想的な愛の物語.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

syaori

84
ドイツ・ロマン派の名作。魂を持たない水の精ウンディーネと騎士のロマンスを追って物語が進みます。本書の魅力は、無邪気な子供のように「何を恨むということもなく、楽しく暮らして」いたウンディーネが、愛により魂という「重い荷物」を得て愛の悲しみや苦しみも味わうことになるその対照と、それも含めて捧げる可憐な愛で、彼女が最後に騎士にもたらす甘美な接吻とともに印象に残ります。同時にそんな彼女が「誠のある魂」を持つ者にとっては「どんなことも幸福にな」るのだ言い、愛と生の苦しみを汲み尽くそうと臨む姿勢に鼓舞もされました。2023/12/30

32
美しくもかなしい異類婚姻譚。個人的には、魂をもつ前の自由奔放で喜怒哀楽あるウンディーネに好感をもった。魂をもったあとの、静かで心やさしい彼女も魅力的だけれど、どちらかというと慎ましく生きてきた自分自身と重ねてみえたか、ワガママなウンディーネを羨ましく思った。描写が美しく、水を題材としたお話なので、季節にも相応しい一冊かと。2015/07/24

藤月はな(灯れ松明の火)

31
「蜘蛛女のキス」の布教している文学研究会の文学少女の後輩とその本のことで盛り上がった時に「お勧めの本はある?」と尋ねた所、「シラノ・ド・ベルジュラック」と共にお勧めされました。恋をしたことがないために魂を持たずに子供のように無垢な残酷さを持っていたウンディーネは騎士に恋すると一途な少女となるのが可愛らしいです。その分、騎士がウンディーネのかつていた世界が理解できずに彼女を裏切る。「人魚姫」、「人魚と赤い蝋燭」のように人に憧れた水に属する者は人から想いを理解されず、裏切られなければならないのでしょうか。2012/06/20

いりあ

27
ドイツ人作家、フリードリヒ・フーケが1811年に発表した幻想譚です。いくつかのオペラやバレエの原作になってます。水の精霊ウンディーネと騎士フルトブラントの恋とその結末を描く、いわゆる異類婚姻譚になってます。岬で過ごしてた頃の天真爛漫なウンディーネがとても可愛らしいです。ラストの悲しい終わり方も余韻があって良いです。物語の後半は、ウンディーネの純真や清らかさを強調するためなのか、騎士フルトブラントや恋敵ベルタルダがかなり悪役に描かれているのがちょっと気になるところです。ライトノベルっぽい感じがする。2015/03/21

1039kuri

20
若草物語で、次女のジョーが読みたい!と切望しているようだったので気になって…。二人の美女に、一人の男。思っていたよりもサクサク読めた。ウンディーネは人間ではなく、最初からきな臭い純愛だった。とっておきの設定で始まる三角関係なんだけど、理由はどうあれ、そういうのって悲しいと思ってしまう私はお子様なのかなあ。2014/06/27

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