出版社内容情報
第一次大戦のイタリア戦線.アメリカ人中尉ヘンリーは武器を捨て,恋人のイギリス人篤志看護婦バークレーと共に非情苛酷な戦場からスイスへと逃れるが,運命は彼らの愛の成就を許さなかった.物語は余分な修飾語を一切はぶき,歯切れのよい文体で展開し,読後,悲劇の秀作を観おわった如きさわやかなカタルシスを感じさせる.
内容説明
第一次大戦のイタリア戦線。アメリカ人中尉ヘンリーは武器を投げ捨て、恋人のイギリス人特志看護婦バークレイとともに非情苛酷な戦場から逃れる。だが、運命は彼らの愛の成就を許さなかった。物語は、余分な修飾語をはぶき、歯切れのよい文体で展開してゆく。前作『日はまた昇る』で得た名声を確固不動のものにした傑作。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
イプシロン
31
どの時代、どの国にもいるだろう、ふつうの男と女――下士官兵士と特志看護婦――が戦争の現実を理解せぬまま、その渦に巻き込まれてゆく様は現代にも通じている。二人が恋心を互いに抱きあうのは、彼が負傷してから。戦争によって結ばれた恋愛であるのが悲しい。極限状態になってはじめて相手の存在の重さに気づく哀れ。だがそれは戦争が人と人の絆を破壊することへの気づきでもある。当たり前などないことを忘れる無感覚ゆえといえるだろう。そうなる原因は、信仰をもたないゆえに無意識に人間性を喪失してゆく安逸さにあるという示唆は鋭い。2016/01/21
ペペ
7
背景知識をほぼゼロで読み進めたが、場面場面の展開が早く、内容も分かりやすかった。また、戦争の非情さや冷酷さを訴えかけてくる本でした。続いて下巻も読みます。2016/04/13
shayna
2
第一次世界対戦のイタリア戦線で戦争に身を投じるアメリカ人中尉のヘンリーは、イギリス人看護婦のキャサリンと出会う。 次第に距離を縮め、恋に落ちる二人。やがてキャサリンは妊娠し、二人は戦場から離れて安住の地での暮らしを求めつつも、容赦なく戦争は周囲の命を削っていく。 ルポタージュのような、ヘミングウェイ自身の戦線での経験をそのまま描写しているような、余計な修飾語のない写実的で現実的な文章にぐいっと引き込まれる。 登場人物に心情移入はしないが、、訳がかなり古かったので多少読みにくさを感じるところもあった。2023/09/24
たぬ
2
★4 句点が少ないなど独特の文体に最初は戸惑った。軍を脱走して湖の向こう岸のスイスへ行く部分、ちっとも切羽詰まってる感じがしない。スイスってそんなにおおらかな国だったんか? 主人公が被弾する場面は緊迫感あったんだけど。2017/08/14
℃
2
戦争という凄惨な事件の状況下だからか恋愛のストーリーが引き立ってみえました。ただ、どちらもなんともいえない影を引きずっているような気がしました。 2012/12/07