出版社内容情報
ソロー(一八一七―六二)は,ウォールデン湖畔の森の中に自らの手で小屋を建て,自給自足の生活を始めた.湖水と森の四季の佇まい,動植物の生態,読書と思索――自然と共に生きた著者の生活記録であると同時に「どう生きるべきか」という根本問題を探求した最も今日的・普遍的なアメリカ文学の古典.湖とその周辺の写真多数を収める新訳.
内容説明
ソロー(一八一七‐六二)は、ウォールデン湖畔の森の中に自らの手で小屋を建て、自給自足の生活を営んだ。湖水と森の四季の移り変り、動植物の生態、読書と思索等々が、「詩人博物学者」の清純な感覚で綴られる。湖とその周辺の写真多数を収める新訳。
目次
経済
住んだ場所と住んだ目的
読書
音
孤独
訪問者たち
マメ畑
村
1 ~ 2件/全2件
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
のっち♬
142
処女作執筆に集中するため、ウォールデン湖畔の森に小屋を建てて自給自足の生活を営んだ著者のエッセイ。衣食住にはじまり芸術・教育・宗教・慈善など、隔世に身を置いた彼は虚偽と妄想に満ちた人間社会の実態を次々と糾弾する。めいめいが自分自身の生き方を発見してほしいという断りも入っているが、ここから更に容赦なくなるので押し付けがましさも感じる。古典文学至上主義な論説なんかは特に。「われわれが求めるのは実在だけである」—実生活と結びついた知識を重点的に追求する彼の教育理念や啓蒙思想のルーツをここに垣間見ることができる。2021/12/27
absinthe
120
こんな生活出来たらいいなと憧れもしたが、反面これってただの浮浪者ジャンとも思う。なかなか評価は難しい。こういう生活が出来たというのはそれはそれで凄いのだが、誰もがこのレベルで生活しようとし始めたら自然が持たない。いろいろ思索するきっかけにはなった。
マエダ
73
日本の9割くらいがミニマリスト以下の生活をしている時に、ミニマリストみたいな生活や言動をしているソロー。文明の違いが驚きだが2019/02/14
NAO
63
友人が破壊から守ろうと購入した湖畔の森に自分で建てた小屋での、半自給自足生活。知識人でありながら(知識人であるからこそ)、ソローは町での生活を捨て、自ら鍬を取り、自然と真摯に向かい合って深く内省する。「息子がアダム・スミスやリカードやエセーなどを読んでいるうちに、父親が借金で首がまわらなくなる」文士であり教育者でもあったソローの言葉は、なんとも痛烈な皮肉ではないか。多くの物を持つことが美徳のような生活様式に疑問を持ち、最低限度のもので生きようとしたソローの実験的生活は、哲学的で多くの示唆に富んでいる。2015/11/02
翔亀
62
この本を、昼下がりの水辺で、早朝の公園で、山の高く聳える木の下で、少しずつ読んでいる。現代の、都市のリズムとは合わないのだ。小説とも自然誌とも論文ともエッセイともつかない本書は、論理的/直線的/成果主義的視点から見ると、話があちこちに飛ぶし、前後の脈絡がとれなかったりする。自然の描写と古典古代の著作の引用が混然となっていて、なるほどと思う警句/比喩/詩のオンパレードで付箋をいくつつけても足りないが、結論がないように思える。でも、これだけはわかる。なぜソローは、「経済」という章を最初に置いたかが、だ。2015/04/02