出版社内容情報
画家,彫版師,預言者…と多面的な顔をもつイギリスの詩人ブレイク(1757―1827).『無垢と経験の歌』『セルの書』『天国と地獄の結婚』『詩的素描』などから,その神秘的な幻想詩のエッセンスを対訳形式で収録した.
内容説明
「虎よ、虎よ、輝き燃える/夜の森のなかで…」(「虎」)―彫版師、画家、預言者…と多面的な顔をもつイギリスの詩人ウィリアム・ブレイク(1757‐1827)。『無垢と経験の歌』『セルの書』『天国と地獄の結婚』『詩的素描』など、イギリス・ロマン派のさきがけとなった詩人の神秘的な幻想詩のエッセンスを対訳形式で収録。
目次
1 『無垢と経験の歌』
2 『セルの書』
3 『天国と地獄の結婚』より
4 『アルビヨンの娘たちの幻覚』
5 『詩的素描』より
6 『ピカリング稿本』より
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Y2K☮
37
大江健三郎からの派生。主に子供を温かく見守る韻文の数々を音読。なるほど。ただやはり詩は分厚い文庫本でがっつり読むよりも100ページ程度の余白の多いハードカバーでゆるりと味わう方が本来の魅力に浸れる気がする(これはこれで入門編として有効)。後半は偏屈で気難しいブレイクの性格さながらに「狭い」と感じる事も。欲望に忠実に生きるのと翻弄されて流されるのは同じではない。ジム・モリソンを連想させる一節を拾う度に嬉しさと寂しさが込み上げた。Palace of Wisdomへの道は諦めていない。目指し方を少し変えただけ。2017/09/19
双海(ふたみ)
22
研究のために雑誌『白樺』や『新しき村』を読んでいるとしばしば目にする詩人ブレイク。尤も当時の表記では「ブレーク」というものも多いのだが。自分にとっては既に懐かしい人になりつつある…そんな気がする。2015/02/14
呼戯人
11
「帝国に真向かう予言者」である神秘主義詩人、ウィリアム・ブレイクの詩集を久しぶりに読み返した。海の帝国であり、覇権国家だったイギリスの政治的進みゆきを批判し、天使とキリストの姿を幻視した。版画を生業としていたが、そのイメージは非常に独特で引き付けられる。リルケの天使と同等の幻視性を感じる。ブレイクは大江健三郎に深いインスピレーションを与えていて、「新しい人眼ざめよ」などの傑作を生みだした。2015/11/15
イボンヌ
10
コロナ禍だから詩を読みたくなった。 左に英文、右に日本語が書かれている対訳形式です。 下の段には単語や文章の解説があります。 バイデン大統領就任式でのアマンダ・ゴーマン氏の詩は素晴らしかった。2021/02/11
歩月るな
10
ヴィジョンを見る子供時代を経て旧式な徒弟制度による修業時代を経ての、世界が自分を迫害していると言う強迫観念に固着していく過程、そして革命派であった故の裁判沙汰。自分の才能は発掘してもらうものではなく認められるべきもの(認めてもらうための努力を必要としない)であるという狂気に似た高慢さが終生付き纏っていたが、技術は本物だったし、パトロンもいた、若い人たちとの交流が良好である晩年が比較的穏やかであったのが幸いであろうか。こういう人には出資者(パトロン)ではなくプロデューサーが必要なのかもしれない。見事な技量。2017/08/19