出版社内容情報
作者は紀元五○年頃ギリシアに生れ,アテネに学び終生プラトン哲学を奉じた.古代を追慕した彼が,二十三人のギリシア人を選びそれに一人ずつのローマ人を配した本書は,道徳的教訓を主題とする異色ある伝記であり,世界歴史の上に大きな影響を与えた歴史書でもある.常に歪められた形で紹介されてきた本書の初めての決定訳.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
古川
3
この巻後半はプルタルコスの著作の後世への影響と、プルタルコス『倫理論集』の訳者による梗概が載っている。私はプルタルコスは古代のお堅い歴史家ぐらいにしか思っていなかったのだが、実際これを読んでみると、大変な読書家ではあるがどの分野でも専門家ではなく良くも悪くもディレッタントである、人物評は好みがうるさく潔く自決した者をやたらと評価し降伏した者に異常に厳しい、善人だが説教臭い、といった生き生きとしたプルタルコス像を得ることができ、大変親近感が湧いてきた。何事もwikiで見るだけでなく自分で読んでみるものである2021/08/16
アルゴス
3
やっと最後の第一二分冊。シュキオンの出身で、アカイア同盟を率いて大きな勝利を収めたアラトス、弟のキュロスと戦って勝利したアケメネス朝ペルシア王のアルタクセルクセス、さらにネロの後に皇帝になったガルバとオトの略伝である。なぜか最後になるとあまり芳しくない生涯が描かれるのはなぜだろうか。最後にプルタルコスの「モラリア」の内容紹介があって便利だ。プレタルコスの伝記は、突然に舞台が変わるので、その情景をおもいえがくのに一苦労する。読むのにとても時間がかかるのはそのためだろう。ともかく、読み終えたので、祝杯。2018/02/19
astrokt2
0
未レビュー2009/05/30
モンタニャールおじさん
0
『対比列伝』全訳の第十二分冊。プルタルコスの友人の祖先でありマケドニア王国との戦いに生涯を費やしたアラトス、クセノポンも参加したクナクサの戦いの時ペルシア王であったアルタクセルクセス、ネロ帝死後の混乱期に一時的にではあれローマ皇帝となったガルバ、オトの伝記を収める。また本分冊には『モラリア』の全編内容要約が併録されている。現在では邦訳も手に入れることもできるが、その際もどの編が面白そうか、あたりをつけるのにまだ役に立つだろう。2018/02/09