岩波文庫<br> 芭蕉雑記・西方の人 他七篇

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岩波文庫
芭蕉雑記・西方の人 他七篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 200p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003190210
  • NDC分類 914.6
  • Cコード C0195

出版社内容情報

一九二七年夏の自殺にむかって急傾斜してゆく芥川.その精神の秘密を,評論・小説・随筆・遺書と,様々な体裁をとりながら教養と機智のおもむくままに,工夫をこらして表現した作品を集めた.「芭蕉雑記」「『今昔物語』の鑑賞」など,その後の古典研究に画期をなした作品も含まれており余りに早い死が惜しまれる. (解説 中村真一郎)

内容説明

1829年夏の自殺にむかって急傾斜してゆく芥川。その精神の秘密を、評論・小説・随筆・遺書と、様々な体裁をとりながら彼らしい教養と機智のおもむくままに、工夫をこらして表現した作品を集めた。

目次

芭蕉雑記
僻見
三つのなぜ
『今昔物語』鑑賞
西方の人
続西方の人
或旧友へ送る手記
闇中問答
十本の針

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

50
氏の深層心理を垣間見る『或旧友へ送る手記』。心底と”理想”を語る一方、家族への思いと人間の哀れさを語るところに、氏の哲学と人間性を感じる。表題『西方の方』が、前述の氏の哲学に至る一環の模索という読後感。『僻見』の茂吉の件では、氏の芸術感が印象的。師・漱石と語り合ったのではないかなぁ、と勝手に想像してみた。(笑)『闇中問答』でも触れる師。ストレートな表現だが、「だろうなぁ」としか言いようがない。唯一『十本の針』の”2+2”が読み取れなかった。何だったんだろう・・・2018/01/19

ヤベ

5
西方の人が特に気に入っている。作中において芥川龍之介がキリストを自己に擬えていたか否か意見が別れているらしいが、俺は前者だと思う。作中では、キリストの持つ人間的部分と神的部分の乖離がキリストにもらたしたであろう激しい葛藤と深い諦念への憐憫が詩的に綴られる。それがとても良い。2021/12/18

歩月るな

4
「僕は僕の自殺したために僕の家の売れないことを苦にした。従って別荘の一つもあるブルジョアたちに羨ましさを感じた。君はこういう僕の言葉に或可笑しさを感じるであろう。僕もまた今は僕自身の言葉に或可笑しさを感じている。」九十一年の岩波文庫芥川の一冊。彼は作家では無く芸術家だった。晩年の文章中の、僕が書かなくてもこれらの作品は他の誰かが書いていただろう、とか、新しい事をやっても結局模倣に過ぎないとか、創作者として行きつく所に行き果てた。僕の変わりは幾らでもいる。そんな事で悩めない。そして芥川の変わりはいないのに。2015/12/03

月音

2
芥川の死の前年から直前までの評論、エッセイなどを収録。例の「唯ぼんやりした不安」の全文を初めて読む。この『或旧友へ送る手記』も他作品も、心身が衰弱していたとは信じられないくらい、理知の光に陰りはない。けれど、心はすでに彼岸へと歩を進めている。『歯車』『河童』などで見られた混迷と焦燥が『手記』では消え、冷静な自己分析はすがすがしさすら感じる。芭蕉、斎藤茂吉、イエス・キリスト…、彼が興味を持った人物はストイックに己の道を探求し、その道に存分に生きた。⇒続2024/04/17

ダイキ

2
「クリストの死の不評判だつたことは彼の十字架にかかる時にも盗人たちと一しよだつたのに明らかである。盗人たちの一人はクリストを罵ることを憚らなかつた。彼の言葉は彼自身の中にやはり人生のために打ち倒されたクリストを見出したことを示してゐる。」〈続西方の人〉2017/05/02

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