岩波文庫<br> 暢気眼鏡・虫のいろいろ - 他十三篇

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岩波文庫
暢気眼鏡・虫のいろいろ - 他十三篇

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  • サイズ 文庫判/ページ数 326p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003115718
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0193

出版社内容情報

出世作「暢気眼鏡」以下のユーモア貧乏小説から「虫のいろいろ」,老年の心境小説まで,尾崎一雄(1899-1983)の作品には一貫して,その生涯の大半を過した西相模の丘陵を思わせる洒脱で爽やかな明るさがある.

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ヴェネツィア

285
第5回(1937年上半期)芥川賞受賞作。本来は9つの連作短篇からなる。典型的な私小説であり、赤貧の中で内縁の妻、芳枝との生活を綿々と綴る。こうした筆法からすれば、この頃の芥川賞には何らかの意味での斬新さが求められてはいなかったかのようである。もっとも、作家本人は、既にプロの作家である自分が今さら新人の登龍門たる芥川賞なんてと、不満だったようで、その意味では「物書き」としての矜持と自覚を強く持っていたのだろう。当時の読者たち(とはいっても、文壇の身内的な気もするが)にとってはともかく、今読むと退屈である。2017/03/11

カブトムシ

31
「暢気眼鏡」他で、第5回上半期(1937年<昭和12年>)の芥川賞を受賞した。「虫のいろいろ」は代表作で、1948年(昭和23年)2月に「新潮」に発表された。4年間寝たきりの生活を続けている「私」。身の回りに現れて来る蜘蛛(くも)、蚤(のみ)、蠅(はえ)の姿と自分とのやり取り。更には、娘との「宇宙の大きさ」の会話。師の志賀直哉の「城の崎にて」の系譜に属する小説である。録音テープに志賀直哉へのインタビューが残っている。創作について、いろいろ質問している。志賀直哉の住んでいる奈良へ転がり込んで、世話になった。

michel

21
★4.2。芳兵衛こと妻の芳江との、赤貧の新婚時代を描いた私小説。貧しさに暗さがないき、その上で暢気眼鏡を掛けて生きることの人生観が染み入る。連続短編私小説とはいえ、単に個人的なことを綴るだけじゃない。それぞれの短篇において、作者の松や虫たちへの柔和な視線に、人間性が表れている。2021/03/11

13
★★★★★(第5回芥川賞「暢気眼鏡」ほか14篇収録。作品の年代は幅広く1933~82年、著者34歳から晩年の83歳の作品集。この時代、病と闘う作家は多いが・・尾崎氏の場合、少し作品の雰囲気が違う。二人三脚を続けてきた死という奴。頼んだ訳でもないのに黙って彼と一緒に歩いてきた死・・。その死と向き合いつつも作品が重くならないのは文章の爽快さや歯切れ良さ、ユーモア等にもよるが芳兵衛の存在も大きい。そしてその芳兵衛が自身を投影する一つの鏡ともなる。尾崎一雄は死という「奴」を文字通り土俵際でうっちゃった作家である)2012/10/16

ステビア

12
「玄関風呂」「痩せた雄雞」が白眉である。晩年の枯れた小説群もよい。2018/07/10

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