岩波文庫
東京の三十年

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  • サイズ 文庫判/ページ数 334p/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003102138
  • NDC分類 910.26
  • Cコード C0195

出版社内容情報

明治十四年,花袋が十一歳で出京してからほぼ三十年間の東京という街の変遷と,その中にあって文学に青春を燃焼させた藤村・独歩・国男ら若い文学者の群像を描く.紅葉・露伴・鴎外ら先輩作家との交流にも触れ,花袋の自伝であるとともに明治文壇史にもなっている.また明治の社会・風俗史としても興味深い. (注・解説 竹盛天雄)

内容説明

明治14年、花袋が11歳で出京してからほぼ30年の東京という街の変遷と、その中にあって文学に青春を燃焼させた藤村・独歩・国男ら若い文学者の群像を描く。紅葉・露伴・鴎外ら先輩作家との交流にも触れ、花袋の自伝であるとともに明治文壇史でもある。また明治の社会や風俗の資料としても興味深い。

目次

その時分
川ぞいの家
読書の声
再び東京へ
憲法発布の日の雪
明治二十年頃
新しい文学の急先鋒
ゾラの小説
紅葉と露伴
紅葉山人を訪う〔ほか〕

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ラウリスタ~

22
明治の「文豪」って楽だよなあ、読んでもいない西洋の小説についてあれは偉いとか言ってれば様になるんだもんなあ。モーパッサンの「選び抜かれた」英訳を手にして清らかな恋愛を描く作家だと勘違いしたり、評判だけ聞いた偉いゴンクールの英訳をようやく手に入れて、したりげに「うむ、貴族的だ、翻訳したらいい」って勧めるも、それはひどい英訳からの重訳で批判されたり。要するに愕然とするほどの受容レベルの低さが、逆に明治維新がどれほど大きな負荷を日本の知識人に強いたのかということを物語っている。彼らの努力があるから今がある。2016/06/18

かみしの

20
田山花袋の気持ち悪さというのは、川端や谷崎のそれとは質が違う。感傷的で、「One more time, One more chance」のように、在りし日の東京に、文学仲間と自分の影を見出してしまう。江戸の香りを色濃く残すM10年代から天皇が崩御し、飛行機が飛ぶまでの回想録。風土の著述としても、硯友社を中心とした文学界隈のエッセイとしても、かなり面白い。『トレインスポッティング』を見ているような気分。鴎外の異形さ、独歩や藤村との交友、『文學界』の情熱。そうだよ、これなんだよ、と咽びながら読んだ。2018/04/03

テイネハイランド

18
群馬県館林市出身の小説家である田山花袋の半自伝的回想記。著者は、十歳頃、京橋の有隣堂書店で丁稚奉公をしていて、この本の冒頭に、そのころの街の様子を生き生きと描写した場面が出てきます。まだ江戸の情緒が残っている当時の大都会東京を著者が思う気持ちは、今の大人が昭和の風俗を思うのよりもよっぽど切実だったかもしれません。この本のよみどころのもうひとつは、やはり、親友の文士国木田独歩との交遊について触れた箇所。カレーライスを独歩にごちそうになるという他愛もない話からスタートするのですが、なかなか味がありました。2017/01/24

meg

16
田山花袋が好きになる。 文壇史として、日記文学として、資料としてなど。様々な読み方ができるとても面白い本だ。 田山花袋は教科書でしか触れないのはもったいない。2023/12/21

13
明治の文壇の側面と、東京の移り変わり。そして花袋の半生。文壇の話は、自分が若い頃音楽仲間とやっていた事となんら変わりなく、やっぱり時代やジャンルなんて関係ない部分もあるんだな、と再認識しました。自分が研究している北村透谷とは繋がりがなかったのは残念でしたが、二葉亭や藤村との逸話はとても興味深かったです。やっぱり花袋さん、小説もエッセイも良いな〜。2019/08/24

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