岩波文庫<br> 火の柱

岩波文庫
火の柱

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  • サイズ 文庫判/高さ 15cm
  • 商品コード 9784003101810
  • Cコード C0193

出版社内容情報

新聞記者をしながら社会主義運動に大いに活躍していた尚江(1869‐1937)が,対露開戦の機迫るにおよび,反戦運動のひとつとして発表したのがこの作品である.社会悪に対する憤り,筆致の激しさ,描かれた事件のなまなましさのために当時大きな反響を呼んだが,今日でも主人公篠田長二を通して作者の烈々たる意気を感ずることができるであろう.解説=柳田泉

内容説明

明治の社会運動家、木下尚江が日露戦争直前に発表した反戦小説。社会悪に対する憤り、筆致の激しさ、描かれた事件の生々しさで大きな反響をよんだ。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

松本直哉

13
日露戦争前夜の好戦的な風潮と、日増しに強まる言論弾圧に抗して、敢然と非戦論を展開する篠田の思想は、キリスト教的価値観を極限までおしすすめた結果、私的所有権までも「掠奪」と定義して、所有は窃盗であると道破したプルードンを想起させる。その思想の矯激にもかかわらず、人柄は悠然として穏やかであり、彼を貶めようとする敵をも感服させずにはいない。梅子と思想的に共鳴しあい惹かれあいながらも、恋愛よりは政治運動を選んで、聖職者のような使命感でキリスト教的社会主義に邁進する姿に感銘を受けた。2015/03/01

壱萬弐仟縁

7
表紙見返しで、社会悪に対する憤りとある。1954年の旧字体で読みづらい。新字体で書く。「社会の富が日々に殖えて人の飢ゆるものが愈々増す、富めるものと貧しきものと諸共に、肉体の為に霊魂を失ふ、是れが神の国への路でせうか(略)」(42-43頁)。今でも格差社会深刻で、共感を覚えた箇所。「社会主義ッてものは、実に可(い)いものだと感服し切って来た」(190頁)。ラスキン、モリス、トルストイの影響があったのだろうか。「警察程、社会の安寧を壊(やぶ)るものは有りませんねエ」(191頁)。権力濫用はいけない。2013/08/29

なおぱんだ

0
素晴らしい作品でした。旧文体で読みにくいところはありますが、強い信念が貫き通された一人の人間の生き方が、すべてを読み通した時に胸に響いてきます。著者自身キリスト教の洗礼を受けていて、この作品にもその宗旨が背景にあることから清貧のイメージが強く表れていますが、人間の生き方として、「こうあるべき」ではなく「こうありたい」と強く感じさせてくれる作品でした。2016/02/21

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