出版社内容情報
現在進められている「働き方改革」の本丸である「裁量労働制」大幅規制緩和の危険性を、その目的、法律と裁判例、運用実態から解説。法的権利行使のためのマニュアルとチェックリストを付す決定版。
内容説明
長時間労働の是正は絵に描いた餅に?「高度プロフェッショナル制度」にくらべ、世間でほとんど知られていない「裁量労働制」の大幅規制緩和が、「働き方改革」の本丸だ。「残業代不払いの最後の砦」となっている同制度について、運用実態をもとに警鐘を鳴らす。法的権利行使のための労働相談対応マニュアル、あなたの働き方を点検するためのチェックシートも掲載。
目次
第1章 「働き方改革」と裁量労働制
第2章 裁量労働制とは何か―法的観点から
第3章 裁量労働制の何が問題か?
第4章 裁量労働制の運用と労働組合
第5章 裁量労働制の労働相談対応マニュアル
著者等紹介
今野晴貴[コンノハルキ]
1983年生まれ。NPO法人POSSE代表、ブラック企業対策プロジェクト共同代表。著書に『ブラック企業―日本を食いつぶす妖怪』(文春新書、大佛次郎論壇賞)など
嶋〓量[シマサキチカラ]
1975年生まれ。弁護士。神奈川総合法律事務所所属。日本労働弁護団常任幹事、ブラック企業対策弁護団副事務局長、ブラック企業対策プロジェクト事務局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
乱読家 護る会支持!
5
「裁量労働制度の拡大は、過重労働をまねき、過労死を増やす」。失礼ながら、反日岩波ブックレットもたまにはいい問題提起をする。 ただ、なぜ過重労働、過労死が起こっているのかを、制度の側からだけではなく、日本社会が持つ問題である「個の弱さ」「空気にしばられる」「仕事へのコミットメントの弱さ」等々とからめて論じていただけたらと思いました。 なんで、読まなくていいんじゃねこの本も。2018/07/03
ニョンブーチョッパー
4
★★★☆☆ 法律があっても抜け道があって、企業側はそこを当然突いてくるし、それは黙認され、大きな問題が起こったときだけ話題になり、いつの間にか沈静化する。日本ってどうしてこんなことになっているんだろう。長時間労働も問題だって分かっていながらなぜ解決されないのか。「根本的な解決」なんてことはできないの? 少子高齢化とか、AIの躍進とか、日本と比較した海外での待遇とかあったりして、日本の今までのやり方の中でぐちゃぐちゃやってる場合じゃないと思う。2019/01/05
飯田正人
1
「働き方改革」と称した裁量労働制の拡大は労働者の求める柔軟な働き方ではなく、財界の要請する長時間の不払い残業を可能にすることが目的。そんな企業は労働者からも消費者からも選ばれなくなってなくなるといいね:-02018/03/08
葛
0
2018年3月6日第1刷発行 編者:今野晴貴、嶋﨑量 発行者:岡本厚 発行所:株式会社岩波書店 印刷・製本:法令印刷 装丁:副田高行 表紙イラスト:藤原ヒロコ 執筆者:三家本里実、裁量労働制ユニオン 岩波ブックレット9802020/02/20
カモメ
0
労働時間の上限の規制強化の流れと、アベノミクスの第三の矢からの規制緩和の流れのいびつな構造を指摘している。そもそもの成果主義との結びつきや労働時間の把握の難しさの問題など、人事問題にもよく見られる問題がここでも繋がってしまうことがリスクとして挙げられていた。また、比較データにより、裁量労働制の導入企業の方が労働時間は長くなる傾向があった。一つの主張として、構造的な問題、データの提示で勉強になった。2019/02/04