出版社内容情報
春をいえば直ぐに秋を，好色の嬉しさをいえば次いではその煩わしさを……．両極端を抑える兼好の目くばり，頭の働きに，パスカルと同じモラリストの存在を感じ取る．兼好の心をよく知る著者による味読の醍醐味．
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ぶちたろう
2
中高の国語の題材として徒然草はよく用いられる。しかし著者が例えるように学習中の学生と教員を除けば｢『徒然草』の演奏会場｣に足を運ぶ人は微々たるものだろう。(かくいう私もそのクチだった訳で・・・)そういう作品だから一度古典の教科書から離れた学生には近寄りがたい印象を与える。作者の兼好法師なる人物も気難しい顔を浮かべた隠遁者として想像される。しかし本書の｢色好み｣の章を読むだけでも頭の中にあった著者のイメージが消えて人間臭い吉田兼好の姿が出現する。(あくまで杉本氏の解釈だが)今度は原著に挑戦してみたい。2014/04/08
