出版社内容情報
音楽家のお父さんと,やさしいお母さんとが離婚したとき,ふたごのルイーゼとロッテは別々にひきとられました.ある夏,スイスの林間学校でめぐりあった2人は,この秘密を知ります.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
活字の旅遊人
40
斎藤美奈子『挑発する少女小説』から。子ども向けの文体とドイツ語の雰囲気を残す翻訳ということでやや読みにくいが、話の筋としてはやはり面白い。別れた大人の男女がよりを戻す、という話に関しては過程が単純すぎるけど、子どもの願いという点ではこれ以上ない展開だろう。そして少女たちの大人びた観察力と痛快な企みはおじさん読者でも楽しめた。読者は少女、と明確に限定されている雰囲気があるけれどね。女性観、という意味ではやはり前時代ものだろうが、現代への橋渡し的な物語としても読むことができるだろう。作者も訳者も男性だが。 2021/09/25
三平
22
別れた父母の下、お互いの存在をまったく知らなかった9歳の双子の少女が夏の林間学校で運命の出会いをする。そして、知ってしまったことを両親に知らせないままふたりはある秘密の行動を起こす。 両親の離婚という子供にとってナイーブな問題を扱いながら、児童小説らしいドキドキワクワクを忘れない魅力ある作品に仕上がっており、さすがのケストナー。この人の作品を読むと、子供の頃に出会いたかったと常々思わされる。2016/05/05
刹那
9
有名なお話やけど、読んだことなかった。すごい企て!そして、すごい努力!2017/04/07
二藍
8
巻き毛のルイーゼと、おさげのロッテ。お互いの存在を知らないまま片親のもとで育った双子が、湖のほとりの村で出会ってしまった! ふたりは入れ替わり作戦を決行、両親がはなればなれに暮らしている理由をつきとめようとするが……というのは有名なあらすじ。実際に読んでみると、そのけなげさがひしひし身に迫る……。子どものひたむきさというのは救いだし、子どもが幸せでいることが最上の目的で親の義務だとすがすがしいまでに言い切っている書きようがすごい。パルフィー氏と画家ガベーレ氏のアトリエ交換のもくろみあたりが個人的に好き。2015/12/22
ぱちょ
5
職場の大ベテラン様に薦められた「飛ぶ教室」に感動してこちらも読んでみました。生き別れのロッテとルイーゼ。入れ替わりそれぞれの父親母親と暮らし再婚に導く。明るくてかわいく生き生きとした二人。後書きにもあるけれど、これが戦争を乗り越え出版されたのもすごいなあと思います。2021/01/30