出版社内容情報
人気のトランペット奏者の死が露わにした、驚愕の秘密とは？恋と愛とセックスと音楽、そして家族の物語。
内容説明
人気のトランペット奏者ジョス・ムーディが死んだ。遺体が露わにした驚愕の事実にマスコミは大騒ぎ。混乱する息子、追いこまれる妻―それぞれに辿り着いた“本当”の“彼”とは？恋と愛とセックスと音楽、そして家族の物語。実話にモデルをとった、驚愕のストーリー。現代スコットランドを代表する作家の傑作、ついに邦訳！
著者等紹介
ケイ，ジャッキー［ケイ，ジャッキー］ ［Ｋａｙ，Ｊａｃｋｉｅ］
１９６１年、スコットランド・エディンバラ生まれの詩人、作家。イギリス・マサチューセッツ在住。作品に、Ｔｈｅ Ａｄｏｐｔｉｏｎ Ｐａｐｅｒｓ，Ｏｔｈｅｒ Ｌｏｖｅｒｓ（サマセット・モーム賞受賞）他。近年では自伝Ｒｅｄ Ｄｕｓｔ Ｒｏａｄが高い評価を得ている。『トランペット』Ｔｒｕｍｐｅｔでガーディアン・フィクション賞を受賞
中村和恵［ナカムラカズエ］
１９６６年、北海道出身。明治大学教授。専攻は比較文学・比較文化、英語圏文学。詩・小説の創作、翻訳、エッセイ執筆など幅広く活躍（本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです）
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
秋 眉雄
20
亡くなった架空の人物を囲む架空の関係者たちによる伝聞。面白い物語というものは、語る人間、語られる人間にどれだけリアリティを持たせられるかが鍵になることが多いと思うのですが、あまりそういうところに気が行かないほど、この物語にはリアリティに厚味と自然さを感じました。現実って嘘くささを孕むものだから、適当に嘘くささが交じり合うような、こういうタイプの小説はホントに好きです。2020/01/06
くさてる
15
男性として生活していた人気のトランペット奏者がその死後、女性であったことが公になる。残された人々は……というお話で、モデルになった人はいたようですがあくまでフィクション。ジャズ、黒人、FTM、養子、親子、とテーマが錯綜している感じで、読む人によってどこのポイントにひっかかるかが違うかもしれない。私としては主人公とその妻の間の回想場面や絆の部分がすごく良くて、その息子の云々のところだけが中途半端に現代的で浮いてる気がしてしまった。2020/03/04
チェアー
12
女性であることを隠して、男性のジャズトランペッターとして生き、家族を持った人の死が引き起こす波紋を描いた小説。夫を失ったことで戸惑う妻、秘密が暴露されてやけになる息子。センセーショナルな本を書こうとするジャーナリストなどの動きを縦糸にして、周囲のひとびとが描かれる。これほど詩情に溢れた言葉で人間を描けるのかと感動する。特に「戸籍係」の章はすばらしい。「葬儀屋」の章も。そしてジャズの音の表現も。魂のこもった傑作。2018/09/26
ぱせり
11
彼がどのように自分の死を受け入れたか、そして、息子がどのように父の死を受け入れたか、大きくて美しい物語だった。肌の色、セクシュアリティ、己の出自。家族。死の意味。物語は、その家族の思い出を通して、一人の青年に旅をさせる。わかったこと。わからないこと。わかったことは、大切なことで、わからないことは、そのままわからないままにしておきたいことだった。2017/01/04
ハロン
8
実話を基に作られたらしいけど、これが20年以上前に書かれていることにビックリ。どんな形でも愛は最初は赤の他人の2人から育まれていく。2022/01/24
