出版社内容情報
漱石,鴎外,子規,あるいは蘆花らの作品は,ほぼ時を同じくして成立した西欧近代の文学地平と比してどのように際立っているのか.西欧文学を知悉した著者ならではの草創期の文学の生成を論じた伝説的な評論を編集した遺稿集.
内容説明
漱石、鴎外、子規、蘆花の作品、また逍遙、二葉亭らの模索は、ほぼ時を同じくして成立したヨーロッパ近代の文学地平と比してどのように重なり、またどのように役立つのか。テキストに密着した精細な分析を積み重ねて、次いで世界的な視野に立ち、ゆれ動くこの達成をあざやかな俯瞰とともに提示する。ヨーロッパ文学を自らのものとして味読し、知悉した著者ならではの、草創期の日本近代文学の活力を複眼的に読み込んで画期をなす評論を収めた遺稿集。
目次
物と眼―若き鴎外の文体について
「蜘蛛手」の街―漱石初期作品の一断面
夜の中の数字―小説に現われた科学研究の場とその作業の描写
「写す」ということ―近代文学の成立と小説論
写生の味―子規と日本美術の伝統意識
遠いものと近いものと―正岡子規の現実意識
時間の解体、時間の結晶―『自然と人生』に関する考察
フランスにおける日本語教育概観
同志の人ジャン=ジャック・オリガスを偲ぶ―「あとがき」にかえて
著者等紹介
オリガス,ジャン=ジャック[オリガス,ジャンジャック][Origas,Jean‐Jaeques]
1937‐2003。フランスのエコール・ノルマン・シュペリウールでフランス古典文学とドイツ文学を専攻。オーストリアの作家ローベルト・ムージルの研究で教授資格試験に首席で合格後、日本語・日本文学に転じ、1961年早稲田大学に留学。以後、その生涯を日本近代文学の研究、また東洋語学校、東洋言語文化研究所などでのフランスにおける日本語教育に挺身した
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