内容説明
好評を博した本書初版刊行後、社会情勢の変化、不安感の横溢する時代状況を反映して、わが国の刑法関連諸法には、さまざまな大きな変更が加えられてきた。刑法条文そのものも現代用語化に伴い全面的に書き直され、司法改革の一環として刑事訴訟法も大幅に改正されるにいたっている。本書は、こうした変化に対応しつつ、いま刑法に何が問われているのか、法的な考え方の基本はどうあるべきかを分かりやすく説くもので、刑法を通して現代の社会現象を的確に把握するための導きの書である。裁判員制度の導入と法科大学院の制度化という法曹界を取り巻く環境そのものの変化をも見すえて叙述をいっそう平明なものにし、データも最新のものに改められた。断片的な知識をいかにしてトータルな構造の中に位置づけるのか。いまこそ必読の刑法ガイドブック。
目次
序 刑法との出会い
1 『犯罪と刑罰』の現代的意味
2 犯罪と刑罰を規定するもの―その歴史性と地域性
3 犯罪と刑罰に関する原則―罪刑法定主義の意義
4 犯罪の基礎―刑事責任の基本条件
5 犯罪の消極的要件―刑事責任の限界
6 刑罰と人権
7 刑事責任確定の手続き
8 刑事法と民衆
著者等紹介
村井敏邦[ムライトシクニ]
1941年生まれ。法学者(専攻=刑事法)。一橋大学法学部卒業。同大学法学部教授を経て、同大学名誉教授。龍谷大学法科大学院教授(刑法担当)。同大学矯正・保護研究センター長。元日本刑法学会理事長。刑事拘禁施設及び出入国管理施設の人権状況の改善、死刑制度の廃止等を目的とする監獄人権センター(CPR)の代表を務める。有事法制や憲法問題、精神障害者の人権問題等々につき、批判的立場から積極的な発言を続ける
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