出版社内容情報
男女を隔てる海のモチーフを佐渡の昔話から古典世界へといざなう説話論,哲学者が死の練習によってたち至った死生観の有り様等.ギリシア・ラテンの古典文学を自在に読み解き味わい,その豊かさを平明達意の文章で伝えるエッセイ集.
内容説明
本書は西洋古典の世界とこれに関わる数多の説話が紡ぎ出す形象をさまざまに描き出したエッセイ23篇を収める。前後一千年にわたり広大なジャンルを含むギリシア・ラテンの古典文学を、著者は神話学や民俗誌の伝承への周到な考察を携えて、あるときは練達の古典研究の手腕により作品の神宿る細部を穿ち、あるときは古代オリエントからインド、中国、日本まで時空を跨ぐ大きな視角で論じる。エッセイのいずれもが平明達意の文章によってものされ、人間の心の「物語への本能」を掌に指し、読み返すたびに新たな発見を呼び覚ます。そうした読書の奥深い歓びを懐に秘めた一冊。
目次
1 古典の愉しみ(『饗宴』のはじまり;時の寓話;怪人エピメニデス ほか)
2 フマニタスの源流(古代ギリシアの教養―無用の用と良く生きること;ギリシア文学の流れ;文学の勧め ほか)
3 西洋古典と民俗学(田楽提灯;見せかけの財宝;同心円の神話 ほか)
著者等紹介
中務哲郎[ナカツカサテツオ]
1947年、大阪生まれ。西洋古典学を専攻、現在、京都大学文学部教授。ギリシア・ラテンの古典文学を中心に、神話学や民俗誌の伝承への周到な考察を携えて、広く世界の説話文学に関心を注ぐ
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