内容説明
第一次インティファーダ(民衆蜂起)のさなかに青春を送ったパレスチナ女性ガーダ。結婚にまつわる古い慣習に挑み、イスラエル人と交流し、子どもを育てながら学問を続ける…。過酷をきわめる占領下で親しい人たちの死に直面した彼女は次第に、祖母たちの世代の生きてきた歳月への関心を深め、聞き取りを試みる。そこで見出されたものは?筆者ならではの長く親密な交流から生まれた、心ゆさぶるドキュメント。
目次
1 ガーダの人生(一九九三~一九九八年)(婚約する;家族たち;第一次インティファーダ ほか)
2 故郷の記憶―ガーダの旅(二〇〇〇~二〇〇一年)(第二次インティファーダとカラムの死;ガーダの新しい旅;祖母ハディージェ(七十五歳) ほか)
3 ガーダの日々(二〇〇一~二〇〇四年)(ガーダの日記;イラク戦争;砕かれた若者の人生 ほか)
著者等紹介
古居みずえ[フルイミズエ]
1948年島根県生まれ。フォトジャーナリスト。アジアプレス・インターナショナル所属。JVJA(ビジュアル・ジャーナリスト協会)会員。1988年にパレスチナのイスラエル占領地に入る。以降同地と並行して、写真とビデオ映像を駆使し、ボスニア・ヘルツェゴビナ、ウガンダ、インドネシアのアチェ自治州、アフガニスタンなどの各地の現状、なかでも女性や子どもたちの日常を細やかかつ精力的に取材。新聞、雑誌、テレビで発表する(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ヴェネツィア
18
ガザのハンユニス難民キャンプに暮らしていたガーダという女性に焦点をあて、生身のパレスチナを伝えようとした試み。第1次インティファーダを高校生として過ごし、その後も銃撃、殺戮、破壊の連続の中にあって、彼女は常に向学心に燃え、ひたむきに学び、そして生きて行く。敵性語ともいうべきヘブライ語を学び、子どもを育てながらイギリスに留学するなど。そうしたことは伝わるものの、インパクトはやや弱いと言わねばならない。また、編集が杜撰なのも残念だ。例えば「愛想を崩す」や「ほうほうの手」など明らかな間違いが何カ所か散見される。2012/11/24
ぎすけ
2
日本の女性ジャーナリストが、ガーダという、パレスチナ人の一女性が、勉強や仕事、結婚、出産と個人的な経験を経ていくが、同時にイスラエル兵に殺されたり、逮捕されたりする親族や知人などを見て、パレスチナ人女性(戦争を経験した世代)たちが、自分達の地を追われて生きてきた経験に基づく話を聞き、自分達がどのように生きていくかを模索している様子を書いている。日本には伝わってこない、パレスチナの人々の苦しみと同時に、ガーダのように、自分の生き方をちゃんと見据えている女性もいるのだということに感心した。2010/12/04
めりー
1
結構前に読み終わっていたけど感想入れるの忘れてました! 今のガザのことから、興味が湧いて借りてみた本。パレスチナの人はずっと長らく追われていて今の状況はその続きなのだ、今に始まったことじゃないということがわかった。どのエピソードも壮絶。 まだまだ学ぶべきことがたくさんあると思った。2024/01/20
カネコ
1
◎2012/06/06
ハザマ
1
パレスチナで生活する女性たちのドキュメンタリー。今まで中東については、自爆テロをする危険な国程度の認識しかなかった。この本の中で、如何にパレスチナの人々がイスラエル軍に住む土地を追われ、支配に耐え続けてきているのかが伝わってきた。特にガザの空爆での描写はあまりにひどいすぎて実感がわかなかったが、実際に身内が殺されたらと思うと寒気がする。2011/06/10