出版社内容情報
今日ほど心の豊かさが問われ,その十全なる理解が求められている時代はない.この課題に応えるべく第一線で活躍中の専門家が最新の知見に基づいて新しい角度から切り込み,現代に生きるに必要な生きた知を提供する.
内容説明
ペルーの首都リマ、その巨大な貧民街に立入った精神科医が見たものは何か。マチスタと呼ばれる男性中心主義の分析を通して、父‐母子間に存在する「貧困の2重構造」とその背景にある特有の精神構造が明らかになった。従来の精神病理学を踏まえた上で新たに工夫された方法論は、ペルー社会の貧困感を抉るのみならず、豊かさの中の貧困感に悩む現代日本人の精神構造を解明するにも有効なものとなろう。
目次
序章 貧困の遠景
1 貧民街の生活(インデペンデンシア区;マチスタの肖像;“聖母達”の肖像)
2 貧困の精神病理(マチスタの性格学;“聖母達”の性格学;家族の力学)
3 階層と貧困(中産階層の諸相;階層とマチスタ)
終章 日本への視座