内容説明
だれでも口ずさむことのできる「むすんでひらいて」はどこで、いつ、作られたのだろう。この愛らしい旋律はルソーにその淵源を発し、英国でクラーマーに祖型を求められるが、本書は、以後2百年の伝播の驚くべき広がり、多様さを追求し、音楽学、教育史、宗教史、出版、また自身のルソー研究等の成果を駆使して、その全容をあざやかに復元した画期的な労作である。楽曲の変貌、音楽の消長、異質の文化における受容と享受の変転など具体的な論の至るところ、目を見張る地平が随所にひらく。
目次
序章 『むすんでひらいて』とルソー
第1章 『むすんでひらいて』はルソー作曲か?
第2章 小学唱歌『見わたせば』
第3章 〈ルーサウ氏が睡眠中夢に作りたる曲〉
第4章 クラーマーのピアノの変奏曲『ルソーの夢』
第5章 英語歌曲『メリッサ』とフランス語歌曲
『ルソーの新ロマンス』と『ルソーの夢』を比較する
讃美歌としての『ルソーの夢』
『ルソーの夢』変奏―恋歌として
子守歌として
アメリカ民謡として
器楽曲として
遊戯歌(キンダーガルテン・リート)としての『ルソーの夢』
日本の歌として(その1)
おさな子の歌『むすんでひらいて』
ルソー的歌曲としての『むすんでひらいて』とルソー的音楽の世界