出版社内容情報
従来の厖大な研究史を批判的に踏まえ,「不滅の恋人」などの隘路を打ち抜き,ベートーヴェン像を全く刷新した画期的名著.「楽聖」という厚いヴェールに隔てられたこの作曲家の素顔をいま現代に解き放つ!
内容説明
従来の厖大な研究史を批判的に踏まえ、ベートーヴェン像を全く刷新した画期的名著。あの「不滅の恋人」などいくつもの伝記上の隘路を打ち抜き、音楽と深いアナロジーを感じさせるその生涯を明快に、また縦横に描き、「楽聖」という厚いヴェールに隔てられたこの作曲家をいま現代に解き放つ。
目次
1 ボン(家族の背景;少年時代;十代のベートーヴェン;ボン時代の終り―啓蒙主義;音楽)
2 ウィーン―初期(ピアニストとパトロンたち;ハイドンとベートーヴェン;若い作曲家の肖像;ウィーン―夢の都;音楽)
3 英雄的な時代(危険と創造性;英雄的な時期;ボナパルト―信念の危機;不滅の恋人)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夕立改二
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上下巻で書かれたベートーベン研究の上巻で、この巻でのハイライトは二点あり、ひとつはハイドンとの複雑で愛憎両面の感情を互いに抱き合った師弟関係で、もうひとつは「不滅の恋人」は誰なのかという謎解きである。ベートーベンの不滅の恋人とはいったい誰だったのか?この疑問を解き明かす過程は決して十分な数ではなく、しかもあちこちに分散した手がかりを丹念に集めて科学的に分析する現代の捜査のようである。ひとたび彼女が誰であったのかがわかると、周辺の状況証拠が一気に収束していく様は読んでいて一種の爽快感さえある。下巻に続く。2014/06/01