内容説明
北朝鮮やイランの核開発問題が、世界を揺るがしている。しかし、そもそも核保有に踏み切った国と、核を断念した国との歴史的分岐点はどこにあったのだろうか。日本の核武装論の系譜や、イスラエル、南アなど各国の核政策を丹念に取材し、世界の核拡散をめぐる攻防を検証しながら、拡散防止のための処方箋を探る。
目次
開いたパンドラの箱
1 日本核武装論の系譜(広島で生まれた核の国際管理;「次の保有国」日本の選択)
2 核拡散の攻防六〇年(決断・核の選択;決断・核の放棄)
3 ポスト9・11の核秩序(NPTを超えて;非核大国日本の指針)
著者等紹介
杉田弘毅[スギタヒロキ]
1957年生まれ。一橋大学卒業後共同通信社入社。大阪社会部などを経て89年から外信部。テヘラン支局長、ニューヨーク支局員、ワシントン支局員、外信部次長、同部副部長などを務め、2005年7月から同社ワシントン支局長(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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紙狸
1
2005年刊行の本。スウェーデン、スイスもかつて核武装を検討した。東西冷戦終結で安全保障上の脅威が減じたので、実行しなかった。93頁には、毎日新聞が1969年に、核保有の是非を問うた世論調査の結果が載っている。NPT加盟以前には、日本の新聞もこういう調査をやっていたということか。近年は見かけないように思う。 筆者は、日本の場合、安全保障の環境が悪化しても、核武装は選択しないだろうと予測している。北朝鮮の核の脅威が増大した今日の状況も、(今のところは)この予測の範囲にあるといえよう。2017/12/28