内容説明
著者について
昭和七年、東京都生まれ、会津若松市で育つ。京都大学理学部数学科卒業。東京大学大学院法学政治学研究科修了。ミシガン大学、マサチューセッツ工科大学、ハーバード大学に留学。法学博士。著書は『ソビエト帝国の最期』(光文社)、『「天皇」の原理』(文藝春秋)、『田中角栄の遺言』(クレスト社)など多数。平成二十二年逝去。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
ころこ
45
『豊穣の海』のテーマが唯識における阿頼耶識という平野啓一郎の本で論じられたことが既にここで論じられていた。難しいのは、本書が文学のジャンルとして認められているのかが怪しいし、小室の読者が政治や社会と関係なく文学を読んでいるのかも怪しいことだ。大きな画を描くことが醍醐味の小室からすると、本書の射程が小さいことは衆目の一致するところではないか。2024/01/12
貴
16
日本人はアメリカのために単に楯になっている。自衛隊はアメリカの傭兵ではないか。魂のない奴らがいくら武器をもってもしょうがない。国や民族のためには、いさぎよく命を捨てる、戦って死ぬか、自刃するしか人間は美しく死ねことができない。三島由紀夫さんの考え方が、ほんの少しだけ理解できたように思いました。2023/07/14
Tenouji
15
三島由紀夫の事件について知ることができた。著者の三島由紀夫の仏教理解の説明と、三島由紀夫自身の自衛隊の説明が、読みごたえがあった。2023/08/27
かずりん
11
タイトルからして、昭和45年11月自衛隊市ヶ谷駐屯地に楯の会を称する三島由紀夫らが乱入し割腹自刃するシーンが想起され苦しくなる。三島の作品に接している間を除いてこの場面が脳裏に浮かんでしまう。通常小説の出来事はそこで終わるのだか、それを実際に行ってしまった。あまりにも純粋過ぎた。輪廻転生を主たるテーマとする「豊饒の海」四部作との関連が事細かに綴られ圧巻である。最も難解と言われる豊饒の海、通読では理解しきれなかった部分が少しずつ明らかになっていく。霊魂を信じたからこそなのか否か、謎は益々深まり衝撃の一冊です2023/10/10
しんさん
9
226事件と唯識とボディビルと自決。「豊穣の海」のテーマは、阿頼耶識をつうじての意思実現の課程。少しわかった(ほとんどはわからない)。2023/07/17