スマホ失明

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スマホ失明

  • 著者名:川本晃司【著】
  • 価格 ¥1,430(本体¥1,300)
  • かんき出版(2022/12発売)
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  • ポイント 390pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784761276430

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内容説明

「スマホで失明」って大げさな、と思ったあなたへ
失明=全盲、ではありません
「はじめに」の「ある高校生に起こった悲劇」だけでも読んでください

<ある高校生に起こった悲劇>
デジタルデバイスの急速な普及による、「スマホ失明」リスク。
その急増の波は、もちろん、日本にも押し寄せています。
わかりやすい例が、若い人、特に10代の間で「急性スマホ内斜視」の患者さんが目立つようになってきたことです。
内斜視とは、左右の眼のどちらか、もしくは両方が内側を向いている状態のこと。
私たちの眼は、近くを見るとき、内側を向く「寄り眼」状態になります。
このとき、長時間近くのものを見続けて、寄り眼状態が固定化すると、固定化した視線の先にしかピントが合わなくなります。
すると、それ以外の場所を見たときに、二重にダブって見えるようになるわけです。
ちなみに急性内斜視は、もともと近視がある人が、長時間、近距離でものを見続けることで、発症しやすい傾向があります。
こうした内斜視の中でも、スマホを長時間見続けることで起こる急性症状のことを、私は特別に「急性スマホ内斜視」と呼んでいるのですが……。
先日も、私が診療している山口県防府市のかわもと眼科に、16歳の男子高校生がやってきました。お母さんに付き添われてきた彼の訴えは、「黒板が見えない」「教科書が見えない」というものでした。
検査結果に目を通すと、裸眼視力は右眼が0・03、左眼は0・04。すでに近視がかなり進んだ状態です。
彼はメガネをかけて片眼ずつで見れば、問題なく見えると言います。しかし両眼で見た瞬間に、見えなくなるんだとか。遠くの景色が見えない、授業中に黒板を見ようとすると見えない。教科書やマンガはもちろん、愛用しているスマホも見えない……。
彼に普段の生活を聞いたところ、毎日、かなり長い時間スマホを見ていることがわかりました。そのため、眼球が内側に寄った状態で固定化してしまい、片眼だけなら対象物にピントを合わせられても、両眼を使ったときにピントが合わなくなっていたのです。

「お子さんの眼は、スマホの使いすぎが原因で、急性内斜視を起こした可能性が高いです。
メガネで矯正が可能か、先ほど試してみましたが、矯正はできない様子です。詳しくはこの病気の専門の先生に聞いてみる必要がありますが、手術が必要かもしれません」

私がそう言うと、男の子とお母さんの様子がたちまち変わりました。
単なる近視だろうと思って受診したのに、まさか手術が必要になるとは思ってもみなかったのでしょう。この段階になって、ようやく二人は、「先生、どうすればいいですか!?」とあせり始めました。
とはいえ、急性内斜視は「急性」というだけあって、一時的に斜視になった状態なので、しばらく近距離でものを見ないようにして生活すると、症状が軽減することも多いのです。
しかし近年は、スマホによる近業(44ページ参照)を長期間続けた結果、内側に寄った眼の状態が固定化してしまい、改善されずに手術となるケースが増えています。
彼の場合も、しばらくスマホをやめても症状は良くならなかったようで、後日、某県の大学病院で手術となりました。
ただ……残念なことに、手術をしても、見え方は完全に元通りにはならなかったそうです。彼には、常にものがダブって見える「複視」の症状が残ってしまいました。

失明には、3つの段階がある
ちなみに、私は失明には3つの段階があると考えています。
この分け方は、眼科の一般的な分類に、私独自の分類を持ち込んでいます。ポイントは、「失明」にも段階があり、それぞれの段階で失うものがあるということです。

失明の3段階とは、
 「医学的失明」…… まったく見えない状態。
いわば真っ暗闇の中で生活する全盲のイメージです。

 「社会的失明」…… 矯正視力(メガネやコンタクトを使用したときの視力)が「0・1」を下回り、社会生活を送る上でさまざまな不都合が生じる状態です。
文字情報を得ることが困難になり、新聞や本などは読めなくなります。
また、街中の交通標識や飲食店の大きな看板さえも判読できない状態となります。
当然、車の運転免許も取得できません。
現代社会において、人の活動が大きく制限されます。

 「機能的失明」…… 疾病などで一時的あるいは部分的に見えないことで、社会的に「見えない人」として扱われる状態です。
例えば、病名としては緑内障の他、眼球運動障害、眼瞼けいれんや重症のドライアイがあります。
こうした病気のために、社会的に「見えない人」として扱われることで、さまざまな損失を被ることになります。
先ほどの男子高校生の場合は、盲目になったわけではないので、 「医学的失明」ではありません。
しかし、複視により細かな文字情報などを得ることは困難で、この先、運転免許も取得できないと思われることから、 「社会的失明」に該当します。
また、ものがよく見えないことで、学校をやめる、今従事している仕事をやめる、障害者年金の受取を拒否される、などの可能性があります。そうなると  「機能的失明」にも該当するでしょう。

人生100年時代という超長寿時代を生きる彼が、わずか16歳の若さでものがダブって見える病気を発症したことは、残り80年の人生の質を、これほどまで大きく下げるのです。

近視の進行からの失明という結末!
医療現場の実態と最新のデータから
この危機と対応策を解説
人生100年時代、眼が見えなくなった後の人生をどう生きますか?

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ehirano1

85
私が子供の頃、つまり昭和ではTVの見過ぎは目が悪くなるとよく言われていましたが、現代ではTVではなくスマホに変わっただけというなんとも人類ラシイというかなんというか。一方で、オルソケラトロジーなる素晴らしい技術の発明も普及しているようで昭和の頃よりもだいぶましだなぁとつくづく感じた次第です。2023/12/13

yomineko@猫と共に生きる

66
近視はメガネやコンタクトで矯正すればいいという簡単なものではなく、将来失明する可能性大。情報の9割を目から得ている我々が光を失うとどうなるか。スマホよりやはり紙の読書。太陽の光も大切。中国はいち早く危機感を感じ対策しているのに対し、韓国と日本は何もしていない。行動経済学の説明もあり面白かった。著者は2トンダンプカーの運転手を経て国立の医学部へ入られたという異色な経歴を持ちとても好感が持てた。オーディブルで合格を勝ち取ったそうです😊2023/03/04

たまきら

43
わたしたちがうすうすと気づいているものの無視しようとしていることが、デジタルデバイス中毒です。…そうやって都合の悪いことを見ないようにするあたりで、すでにある意味失明している気がします。怖いなあ。2023/04/15

コニコ@共楽

27
『スマホ脳』のベストセラーから、タイトルにスマホをつけると当たるのかしら?なんて思いで手に取ってみました。眼科医が行動経済学的に目が悪くなるのを予防する方法を書いています。一番手っ取り早いのは、スマホを見る時間を減らすことですが、これが若ければ若いほど中毒性があるので、難しいそう。紹介されている、手元のスマホなどを20分見たら20フィート(6メートル)先を20秒見るルールは効果がありそうですが、インターネットに行くと20分などあっという間。長時間使用を制限するアプリの紹介もありました!2023/02/02

ロア

20
ほっとけば近眼の子供が増えて大儲けも夢じゃないのに、こうして警鐘を鳴らしてあげるなんてめっちゃ親切(*´ω`*)2023/04/13

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