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二 十 七

鈴 木 ふ み

女 の 遺 言
── 「 わ た し 」 の 人 生 を 書 く


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鈴木ふみさんエッセイ―「わたし」にとっての女性解放運動とは。
鈴木ふみさんへのインタビュー
鈴木ふみさんが選んだ本
つながりが暴力を崩していく「他者(わたしでもあるひと)」の声を聴く周縁から歩き出す女の身体は女の人生女を取り巻く世界女性解放とはわたしのこと女性解放とは行動すること女の呼吸を取り戻すMOVIEどのように抵抗するのか?図書館ならではの本
じんぶんやバックナンバー

鈴木ふみさんエッセイ

わたしは、1970年生まれである。『女の遺言』の共著者である麻鳥さんは、この年には女性解放運動を始めていた。わたしは、権威としての女性学理論のなかで80年代を育ち、そして90年代に女性運動の実践者たちと知り合い、多くの怒り方を、日々の生活の倫理を学んだ。男として生きてきた歴史を持つ者として、性虐待のサバイバーとして、専門職という多少は恵まれた立場を持つ者として、わたしなりの修正や緊張をしつつも女性解放運動から多くを受け継ごうと努力し、そして「男」として生きることをやめた。

その中から生まれた『女の遺言』という本は、いわゆる理論書にも実用書にもあてはまらない。どう書くかではなく、書くわたしが女の側でどう生きるかを考えてみたものである。

女性解放運動と女性学の理論は別世界で、女性解放運動には理論がないという男性の指摘があるが、そうだろうか? わたしは女性学とは、まず女性に向けたメッセージであり、行動のための学問だと思っている。そして、理論や現実についての知識は不要ではない。他人の痛みをそのまま感じることはできないし、軽々しくわかったとはいえないが、理論によってその痛みをもたらすしくみに近づくことまではできる。現実の説明だけでは社会は変革されないが、知っていくことで自分の中で何かが突き動かされるだろう。そして閉塞せず、つながる先を見つけて連帯し、運動することができる。

しかし、区切られた学問の空虚さには別れを告げたい。わたしの日常、日々を生きることを見下した理論は力をもち得ない。あえて言えば、現実や運動を理論家のための理論の実験場や情報材料としてはならないし、改めて枠をはめてしまう弊害は計り知れない。

わたしの課題は、運動の内部から理論を生み出し、それを力として使うという道筋を見つけることだ。それは、思いがけないきっかけでやってくる機会をとらえて、造られた現実からはみ出し、つねに人と出会い直すこと。きっと、重荷を解きあい分けることになり、それが他者への想像と楽しむ創造の余裕につながれば生きのびられるだろう。

そして、活字にならないこと、その場に立ち会わなければ聴けないこと、一緒にいなければ感じられないこと、それらをこそ自分の手ですくい取っていこうと思っています。

最近はこのようなことを考えながら生活しています。

【鈴木ふみ】


新刊ご案内

女の遺言 女の遺言

麻鳥澄江・鈴木ふみ【著】
御茶の水書房(2006-11-15出版)
ISBN:4275005090
定価:2,730円(本体2,600円)

生きることを考える本である。大切なことは、連(つる)むこと、語ること、つむぐこと。著者ら自身は女性解放運動の本のつもりでいる。女性解放運動が始まって30年以上経った今、それを「歴史」として知っていった鈴木が、その真っ只中にいた麻鳥さんと、女性解放運動を広げるために文字にしたものである。法律の解説はしてあるが、異性愛婚姻制度の中心ではない位置で生きる人の立場に立てるようできるだけ努力したつもりである。この本は、遺言をどう書くかではなく、遺言を書く私をどう創るか、どういう人間関係の中で私になっていくか、という内容になっている。つまり、死を語り合える関係こそ、生きるために必要だという結論である。

生きのびるために必要な知識や見方を、手を伸ばして取り入れ、自分を通して発信することが、誰もがもちあわせている 「私」の専門性だと思っている。これが研究者ではない醍醐味だし、既存の学問分類やいわゆる「専門性」に狭くはまり込んで、専門ではないからと「専門性」以外のことを見ないで済ますことではいけないと日ごろ考えている。紀伊國屋書店では『じんぶんや』から出発させていただけるとのこと、嬉しい限りである。この選書や分類には麻鳥さんの協力を得て完成した。紙面を借りて感謝します。

【鈴木ふみ】


姉妹たちよ・女の暦(2007) 『姉妹たちよ・女の暦(2007)』

ジョジョ企画

カレンダーという方法で女性の足跡を伝える貴重な作品。発行元のジョジョ企画では「本は閉じて書棚に入ってしまうが、カレンダーという文房具なら毎月見てもらえる。来訪した友人にも見てもらえる」と、その「伝えたい」発想がすばらしい。毎年、楽しみにしている。

【鈴木ふみ】


姉OKノート(2007) 『OKノート(2007)』

ジョジョ企画

1982年に刊行した「スケジュールノートBOOK」に端を発して25年間続いている、女性情報つき年間手帳。1年53週の特集記事がいつも役に立っている。2007年版は「女たちゆかりの地」。旅行するときに立ち寄れる。また、世界各地の女性情報つき年間手帳に興味のある人は、インターネットを利用して自分で注文して買うことができる。

【鈴木ふみ】



選者・鈴木ふみさん
選者・鈴木ふみさん【プロフィール】
1970年2月26日生まれ。
1994年、弁護士(鈴木隆文)登録。女性やセクシュアル・マイノリティの権利に関する活動を中心に携わる。そのほか、公認会計士、精神保健福祉士、社会福祉士、臨床心理士等。

現在、千葉県市川市でアライズ総合法律事務所、「すぺーす・アライズ」を運営。「すぺーす・アライズ」は、性暴力と女性への暴力の根絶をテーマに、国内、海外でのワークショップを企画。女性とセクシュアル・マイノリティのための情報提供に力を入れる方針。

*「隣人の会」(休会中)について…子どもの頃に性虐待にあったサバイバーとそのパートナーの集まり。パートナーたちは誰にもサバイバーのことを口に出せずに抱え込みがちである。そのパートナーたちが大切にされる集まり。ミニコミ「すいれん」は、性虐待にあった男性のサバイバーに向けた情報発信。「SOSHIREN・女のからだから」「女の空間NPO」等の活動に参加している。

【主な著作】
女の遺言 わたしの人生を書く』(共著書、御茶の水書房)
ドメスティック・バイオレンス 援助とは何か 援助者はどう考え行動すべきか』(共著書、教育史料出版会)
誰にもいえない夫の暴力』(共著書、本の時遊社)
もし大切な人が子どもの頃に性虐待にあっていたら』(共訳書、青木書店)



■場所 紀伊國屋書店新宿本店5階カウンター前
■会期 12月1日(金)〜
■お問合せ 紀伊國屋書店新宿本店 5階売場 03-3354-0131

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