内容説明
ニューラルネットワークや遺伝連鎖解析など,複雑な問題においては,正則条件が成立しない場合があり,有効な非正則モデルが求められている.本書では,統計モデルが滑らかでない点をもつクラスの非正則モデルを「特異モデル」とよび,その基本から最新の知見までをまとめた.広く非正則モデルについての考え方を補論として付す.※この電子書籍は「固定レイアウト型」で作成されており,タブレットなど大きなディスプレイを備えた端末で読むことに適しています.また,文字だけを拡大すること,文字列のハイライト,検索,辞書の参照,引用などの機能は使用できません.
目次
編集にあたって┴特異モデルの統計学(福水健次・栗木哲)┴1 特異点をもつ統計モデル┴1.1 特異モデルの典型例 識別不能性と境界をもつパラメータ空間┴1.2 特異モデル 接ベクトル集合の特異な構造┴1.3 特異モデルのさまざまな例┴1.4 最尤推定量の数値解法┴2 パラメータ制約モデルの漸近論┴2.1 有限混合モデルと遺伝連鎖解析┴2.2 ランダム係数回帰モデルとプロファイル解析┴2.3 最尤推定と尤度比検定の漸近論┴2.4 尤度比の極限分布の例┴2.5 定理の証明┴3 チューブ法 正規確率場の幾何学┴3.1 はじめに┴3.2 チューブの体積と正規確率場の最大値分布┴3.3 チューブ体積公式┴3.4 チューブ座標と臨界半径┴3.5 チューブ法による極限分布近似の例┴3.6 オイラー標数法┴3.7 チューブ法の歴史と文献┴4 凸多面錐をパラメータ空間とするモデル┴4.1 順序制約と単調回帰モデル┴4.2 単調回帰モデルにもとづく統計推測┴4.3 凸多面錐を対立仮説とする検定┴4.4 同時信頼区間の構成┴5 無限次元の特異モデル┴5.1 無限次元空間の中の接錐┴5.2 ガウス過程による尤度比の解析┴5.3 尤度比の発散とそのオーダー┴6 その他の話題┴6.1 対数尤度関数の大域的性質┴6.2 罰則付き最尤法┴6.3 特異モデルにおけるBayes推定┴付録┴1 確率論からの準備┴2 多様体についての必要事項┴3 オイラー標数┴参考文献┴補論A 非正則な場合の推測理論(竹内啓)┴補論B 非正則モデルの情報損失(赤平昌文)┴索引