ぞぞのむこ

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  • サイズ B6判/ページ数 292p/高さ 19cm
  • 商品コード 9784334912321
  • NDC分類 913.6
  • Cコード C0093

出版社内容情報



井上宮[イノウエ キュウ]
著・文・その他

内容説明

電車を乗り間違え、見知らぬ町に降り立った島本。部下の矢崎は「すぐに離れたほうがいいですよ。ここは漠市です」と訳のわからぬことを言う。しかし先を急ぐ島本は、漠市を通り抜け、取引先へ向かう。するとその後、次々と幸運が舞いこみだした。大きな仕事が決まったり、会社のマドンナに声をかけられたり…。上機嫌で家に帰れば、玄関の前に元カノののぞみが座りこんでいる。復縁かと喜んだ島本はのぞみを家に泊めるが、のぞみは一言もしゃべらず、精気もない。そして翌日、のぞみを家に残したまま出社した島本がバッタリ出会ったのは、本物ののぞみ。では、家にいるあの女は誰なのか―。いや、何なのか―。

著者等紹介

井上宮[イノウエキュウ]
1961年愛知県生まれ。主婦。2016年、「ぞぞのむこ」で第10回小説宝石新人賞を受賞、デビュー作となる(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

265
怖い。怖いし面白い。このストーリーは実体を持つ気持ち悪いモノと心の闇の禍々しさが上手く絡み合っている。こういう世界観は新しい気がする。新しくて怖い。不浄と結びつかないモダンホラーには『エイリアン』や『黒い家』があるが、アレとは異なっている。既存の宗教的な不浄の概念を使っていない、ラヴクラフトのようでもある。とにかくつけこまれ、気づくと離れられなくなっている。そして、そこら辺に本当にありそうだ。小さい頃から知っていた当たり前のものの中に潜んでいる不安。そういう感じ。2019/07/12

しんたろー

236
井上宮さん初読み。5編のホラーは架空の町「漠市」にまつわるおぞましい話…各話ごとに主人公が変わり違う世代の視点で語られるのが良いし、矢崎という青年が何かしらの形で関わっているのも面白い。2作目まではグロさが目立って「この先を読むのはキツイなぁ」と思ったが、3作目以降は主人公の心情が巧く加わって、小説としてレベルが上がったように感じた。特に最後の『ざむざのいえ』は母と娘の想いに哀愁さえ感じた。不気味な言葉の造語は澤村伊智さんと肩を並べるセンスだし「人を描く」ことを磨けば、一流のホラー作家になる人だと思った。2019/03/19

nobby

197
「ぞぞのむこ」「じょっぷに」「だあめんかべる」「くれのに」「ざむざのいえ」そのタイトル並べてまだゾクゾク感を醸し出す“ひらがな”の魅力。途中で数回使われる“あたさわ”然り、漢字を当てはめたり、意味分かって目にする言葉の組み合わせのセンスが素晴らしい!最初は違和感もある「じょっぷに」なんて、もうそうにしか聴こえない…最も分かりやすく堪能したのは「くれのに」コミカルさから深刻さ増し、ラスト震撼させられて唖然…「ざむざのいえ」は切なくも口腔内がザラザラして何とも後味悪い…大事なのは家入る前に石鹸使っての手洗い!2018/09/14

🐾Yoko Omoto🐾

153
不用意に立ち入ってはならず、絶対に関わりを持ってはいけない町、漠市。他人の忠告を聞かずハザードスポットに接触した者の末路は崩壊だ。潜在的な望みの実現はそれを離すまじという浅ましさを生み、強い執着はおぞましい何かに様々形を変えその人間を蝕んでゆく。不条理でもあり自業自得でもあるその匙加減と、理屈が通用しない怪異に最後までゾワゾワ。マイベストは強烈なラストに引き笑いが出た「クレノニ神」、恐ろしくもどこか悲しい「じょっぷに」。何と言っても著者の擬音語と造語のセンスの良さには腰砕けにさせられた。んじょっぷにー!➡2018/08/21

黒猫

131
怪奇そのものの不気味さもさることながら、それに引きずられ落ちていく人間の狂気が怖い。「じょっぷに」を読み終えてから鋏を見る目がすっかり変わってしまった。食い入るように見つめる鋏には、不自然な折り目がついた価格シールが貼られている。ここはどこだ?部屋にいたはずの私は、いつの間にか漠市のやすらぎ文具店で立ちすくんでいる。じょぷじょぷじょぷ……鋏の開閉は繰り返され…床に広がる血溜まりが、それに引きずられ落ちた私を映した。もしあなたがどうしても本書を読むというのなら、それ相応の覚悟が必要だろう。ざ、ざ、ざむざむざ2019/07/05

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