1973年、晶文社から”植草甚一責任編集”を掲げ『ワンダーランド』という雑誌が立ち上がる。編集長は高平哲郎(26)、アートディレクターに平野甲賀(35)、そして影の編集長として津野海太郎(35)がいた。散歩の途中に立ち寄っては無駄話をしていったという植草甚一は、そのまた重しみたいなやくどころだった。
創刊号の目次を眺めると、連載「植草甚一自伝」、「おお、キャロル」(佐藤信)、「ロンサム・カウボーイ」(片岡義男)、特別大型企画「ロックンロールは地球の嘆き」、「菅原文太 仁義なきインタビュー」…。
なにやら気になるこんなページもあった。16頁にわたる情報とコラムを満載した「月刊新聞VOW」。後に雑誌『宝島』からひとり歩きして爆発的な売れ行きを見せる例のシリーズじゃないか。「VOW」が”ヴォイス・オブ・ワンダーランド”の略だとは。
そう、『ワンダーランド』は『宝島』の前身だったのだ。創刊から早くも3号目に誌名を変更。その後、発行元はJICC出版局へ。この辺の経緯や創刊時のドタバタを当時の編集者たちが回想している。そこには数々のドラマがあった。 |
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| 『僕たちの70年代
』 高平哲郎/晶文社
高平氏は叔父・小野二郎に声をかけられ学生時代から晶文社で本を企画していたそうだ。植草甚一との出会い、『ワンダーランド』〜『宝島』の経緯も詳細に綴られる。 |
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| 『読書欲・編集欲
』 津野海太郎/晶文社
植草甚一の数々のコラム集や『スクラップ・ブックを手がけた編集者。現在『本の雑誌』に「サブカルチャー始末記」を連載中。そろそろ、晶文社時代へ突入するはず。 |
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植草甚一が、若者たちの間で人気を呼びはじめるのは60年代の後半。『ジャズの前衛と黒人たち』(67年)の頃から『平凡パンチ』などの雑誌で散歩と雑学好きのファンキー爺さんとして紹介されていく。その後生まれる、ジャンルを縦横無尽に跨ぐコラム集の下地には、もちろん、それ以前に数々の雑誌に書いてきた原稿の蓄積があった。 |
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『後ろ向きで前へ進む』
坪内祐三/晶文社
植草甚一を知らない若い世代にむけて行われた「植草甚一」講義を収録。時代にどう受け入れられたかを丁寧に説く。また全書を通じて植草甚一の没した“1979年”論。 |
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| 『極楽島ただいま満員』※品切れ入手不可です。ご了承下さい。
久保田二郎/晶文社
「植草を不良にしたのはクボジです」。植草夫人にそうまで言われた異端のジャズ評論家・久保田二郎は、植草甚一の『スイング・ジャーナル』での連載の生みの親。
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| 「話の特集」と仲間たち 矢崎泰久/新潮社
とびきりヒップな創刊号(1965)を買ってまっ先に投書ハガキを送ったのがきっかけで植草甚一は同誌で連載をスタート。『話の特集40周年記念』と併せて読みたい。 |
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| 『平凡パンチ1964』 赤木洋一/平凡社
創刊スタッフとして入社した1964。40年前の回想とは思えないライブ感漂う文体。雑誌作りの現場に居合わせたかのような錯覚に…。60年代サブカルチャーを体感できる。
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| 『イラスト・ルポの時代
』 小林泰彦/文藝春秋
著者の兄は小林信彦。ニューヨーク、ロンドン、東京…。67年から71年にかけて『平凡パンチ』に連載された名物ルポを再編集。若者たちのいた街角が鮮やかにスケッチされている。 |
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| 『日本ロック雑誌クロニクル
』 篠原章/太田出版
60〜80年代を”ロック”で概観できる編年記。各雑誌の元編集長たちへのインタビューもディープ。ロック史から『宝島』をみるのも面白い。『宝島』特集一覧つき。
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| 『彷書月刊2001年8月号 植草甚一の時間
』 ※品切れ入手不可です。ご了承下さい。
彷書舎 |
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『古本とジャズ』 ※品切れ入手不可です。ご了承下さい。
植草甚一/角川春樹事務所 |
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『アンド・ジ・エンジェルズ・シング―久保田二郎「傑作選」 』 ※品切れ入手不可です。ご了承下さい。
久保田二郎/河出書房新社 |
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『ああパ−ティの夜はふけて』※品切れ入手不可です。ご了承下さい。
久保田二郎/晶文社 |
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『雑読系』
坪内祐三/晶文社 |
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『古くさいぞ私は』
坪内祐三/晶文社 |
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『これは恋ではない 小西康陽のコラム 1984−1996』 ※品切れ入手不可です。ご了承下さい。
小西康陽/幻冬舎 |
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『ハイスクール1968』
四方田犬彦/新潮社 |
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『ビニール・ジャンキーズ―レコード・コレクターという奇妙な人生』
ブレッド・ミラノ/河出書房新社 |
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『話の特集2005 40周年記念』
矢崎泰久編/WAVE出版 |
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『平凡パンチ大橋歩表紙集』※品切れ入手不可です。ご了承下さい。
大橋歩/株式会社イオグラフィック |
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『平凡パンチの時代』※品切れ入手不可です。ご了承下さい。
マガジンハウス編/マガジンハウス |
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『半分は表紙が目的だった』
片岡義男/晶文社 |
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新宿の街を日々の散歩のエリアとした植草甚一。ここ紀伊國屋書店にも、いつも本を抱える彼の姿があった。 |
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『ぼくの東京案内』
植草甚一/晶文社
新宿を、とにかくよく歩いた植草甚一は、こんな風にも言っている。 「すこし頭をはたらかさないぶんには、新宿に出たって面白いことにはブツからないんじゃないかな」。
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| 『一葉からはじめる東京街歩き 』
坂崎重盛/実業之日本社
植草甚一の”散歩”を、名だたる文士たちの町歩きと比べてみると面白い。植草甚一のスゴミとは?ちなみに本書の著者は『ワンダーランド』創刊号の執筆者でもある。 |
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| 『考える人 2005年冬号
』 考える人/新潮社
連載「考える人11」かつて植草甚一の伝記を書くことを夢想したこともあるという坪内祐三はこういう。「彼はノスタルジーに逃げません。…新しい楽しみを見つけるべく散歩を続けます」。 |
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| 「東京人」(2004年10月号/小特集:ATG映画と新宿文化) 都市出版
植草甚一が戦時中、東宝社員時代に主任を務めていた、今はなき映画館「新宿文化」。70年代には、ATG封切館として若者に支持された。その足跡をたずねる小特集。 |
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| 『新宿DIGDUG物語 ―中平穂積読本
』 高平哲郎/三一書房(東京キララ社) 献辞には東京の親代わりだった植草甚一の名が。60年代後半の”ジャズ喫茶全盛時代”を知る貴重な証言。植草甚一書簡や、新宿DUGオーナーでありジャズ写真家でもある中平氏所蔵の写真多数。 |
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| 『新宿
』 森山大道/月曜社 |
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| 『i‐feel
no.31 (特集:新宿のイコンたち 60'S) 』 紀伊國屋書店 |
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| 『スイングジャーナル2004年5月臨時増刊号(表紙:植草甚一)
』 スイングジャーナル社 |
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| 『JAZZ GIANTS 1961‐2002
』 中平穂積/三一書房(東京キララ社) |
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『QUICK JAPAN#41 WE LOVE TAMORI』
太田出版 |
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『ジャズ武芸帳 山下洋輔エッセイコレクション1』
山下洋輔/晶文社 |
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『洋輔旅日記 山下洋輔エッセイコレクション2』
山下洋輔/晶文社 |
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『へらさけ犯科帳 山下洋輔エッセイコレクション3』
山下洋輔/晶文社 |
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『ピアニストを笑うな!』
山下洋輔/晶文社 |
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『みんながジャズに明け暮れた―私家版・日本ジャズ史』 ※品切れ入手不可です。ご了承下さい。
奥成達/三一書房 |
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『深夜酒場でフリ−セッション』
奥成達/晶文社 |
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| 『ワンダー植草・甚一ランド
』 植草甚一/晶文社
植草甚一のエッセンスがつめこまれた、オモチャ箱のようなコラム集。まずはページを ぱらぱら。どこから読みはじめたっていい。散歩の気分で植草エッセイの精髄を。
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『植草甚一コラージュ日記@』
植草甚一/平凡社
『スクラップ・ブック』月報のペン描き日記を東京編とニューヨーク編の2冊にまとめたもの。巻末に、会った人、歩いた街、寄った本屋、喫茶店…などの索引がつく |
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| 『植草甚一コラージュ日記A
』 植草甚一/平凡社 |
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| 『植草甚一の収集誌
』 植草甚一/晶文社 |
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| 『植草甚一の読書誌
』 植草甚一/晶文社 |
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| 『植草甚一の芸術誌』 植草甚一/晶文社 |
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| 『植草甚一の散歩誌』 植草甚一/晶文社 |
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| 『植草甚一の映画誌
』 植草甚一/晶文社 |
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『ぼくの好きなジャズマンたち 植草甚一ジャズエッセイ大全2』
植草甚一/晶文社 |
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『植草甚一スクラップ・ブック』全41巻(画像は一巻)
1976年から1980年にかけて刊行されたJ・J氏大全集を完全復刻! ブックデザイン・平野甲賀 月報付 税込1,470円(全巻統一) 第一期(21冊)および全巻の予約者に植草さんの年賀状を複製した特製絵はがきセットを贈呈。 ――すいせんの言葉 ★角田光代(作家) 若いときに知り合ってよかったもののなかに、植草甚一の本がある。映画や音楽や町の光景について、隣に座って飽きず話してくれる大人の友達は、彼のほかにいなかったから。そうしてこんな粋な友達は、今もってあらわれないのだ。 |
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『植草さんについて知っていることを話そう』
高平哲郎/晶文社 植草さんってどんな人? 植草甚一とリアルタイムで時代をともにした人から、いまでもその足音を追い求めている人まで総勢25人と語りあった「植草甚一大全」ここに登場! 著者の語りの相手は、タモリ、山下洋輔、平野甲賀、和田誠、坪内祐三、山本容子、谷川賢作ら。明治生まれで江戸人の植草さんの生き方、歩き方が、蘇ってくる。 |
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