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●晶文社の本棚を見つめて

出版社はそれぞれの顔を持っていると思っています。個性、というヤツです。あそこならこんな教養が、とか。ここなら、ああいう筆者だとか。目線の位置ということもあります。そういうものです。オリジナルといってもいいでしょう。

で、晶文社です。いま、一階の一角にある会議室&応接間&うち合わせ&作業所…まあ、なんでもあり、という部屋にいます。四畳半という広さですが、壁には創業1960年以来の本が並んでいます。背表紙には、疲れたものから出来たてで元気いっぱいの本も。もちろん、二度と姿を見せることのない本もあります。社長が「売れなかったので見たくない」本まで、刊行順に並んでいます。

その壁をみつめています。

ベンヤミン、ポール・ニザン、ウィリアム・モリスがいます。島尾敏雄全集に長谷川四郎全集、耕治人全集が並んでいます。そして植草甚一の顔も当然、見えてきます。
 目線をオリジナルという言葉に置き換えてみますと、やはりそうですね、植草甚一になるでしょう。考えなくてもそうだ! そんな声が聞こえてきました。

最初の本は、1967年の『ジャズの前衛と黒人たち』です。ここから始まっているのでした。その後、『ぼくは散歩と雑学がすき』(1970)、『ワンダー植草・甚一ランド』(1971)、『雨降りだからミステリーでも勉強しよう』(1972)、『映画だけしか頭になかった』(1973)。年に一冊です。翌年の74年は、『こんなコラムばかり雑誌に書いていた』と『知らない本や本屋を捜したり読んだり』と2冊です。

そして、全集『植草甚一スクラップ・ブック』(全41巻)は、76年に始まり、80年に終了していました。

そうそう、新刊の『植草さんについて知って知っていることを話そう』の「あとがき座談会」で、この植草全集を手がけた津野海太郎さんは、当時の様子をこう語っています。
 「当時は雑誌に書かれたものが本にまとまるということが全然なかったから。六〇年代までは雑誌の数自体少ないし」本にしたんですね。

小さな声ですが、つぶやいていました。初心忘るべからず。

晶文社編集長 中川六平

どうぞ、ごゆっくり、ここで遊んでいってください。

     

            





                                  


■場所紀伊國屋書店新宿本店5階カウンター前
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■会期2月1日(火)〜2月28日(月)
■お問合せ紀伊國屋書店新宿本店5階売場 
03-3354-0131 


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