内容説明
余命幾ばくもないおしんの心残りは、非業の死をとげた妹のひとり娘のこと。おたみはそんなおしんに心を寄せて、なけなしの形見を届ける役を買って出る。人と真摯に向き合う姿に胸熱くなる江戸人情時代小説!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はにこ
31
竹蔵の亡くなった奥様、きっと自分が死んだ後の竹蔵のことを心配していたんだろうねぇ。手紙にしみじみ。私が書くならもっと早く再婚して欲しいけどね。話をまたがって、おぎん一家のお話。花魁には幸せになって欲しいな。母、祖母、叔母の想いも込めて。。佐吉の恋には動きが。今度は身の丈に合った恋を実らせて欲しいね。菱川さんの恋も気になる。鹿一の過去が明らかに。悲しい過去。これからも目が離せない!2021/10/30
ケイプ
14
髪ゆい猫字屋シリーズの第三弾。このシリーズは話が巻を跨いでいたり前シリーズから繋がっていたりするところもあるので、出来るなら「照降町自身番書役日誌」シリーズから読むことをおすすめします。より深く読めると思います。騒動が解決したからと言ってその人にとっては終わりではないし、それがいろんな場面で影響したりするのは当然ですものね。表題作にもなっている「十六年待って」。魚竹の竹蔵にはそんな過去があったんですね。女房おかねの気持ちを知った竹蔵のこれからが気になります。2014/12/19
まき
8
竹蔵の亡き妻からの十六年後の手紙はある意味怖い。あんな手紙読んだらおいそれとは後添えは貰えないわ。それにおゆきの気の強いこと。佐吉の恋が成就しますように。そして鹿一が心にけりをつけて戻って来てくれますように。2021/10/05
こまt
6
照降町シリーズと同時進行で読んでいるので、途中で話が?となることがある。でも、あとがきにもあったように、話やシリーズをまたいで一つの出来事が完結するというのも確かに当たり前だなと思う。おたみやお涼の気風のよさは読んでいて小気味よい。小説で知るしかできないけれど、江戸時代っていうのは本当にこんな社会だったんだろうか。2014/08/24
たーくん
5
二月の初午になると、毎年決まって縁切りの絵馬を買っていく女。のっぴきならない因縁を抱えているのか、絵馬売りの甚太はどうにも気になって仕方ないのだが…(「初花」)。ほか、魚竹の竹蔵に後添いの見合話が持ち込まれたり、佐吉に新たな恋の予感が訪れたり、鹿一の謎に包まれた過去が明らかになったり…喜びも悲しみも飲み込んで、一筋縄ではいかない人の心の綾を見車事に描き出す、書き下ろし江戸人情小説第三弾! 2020/06/06