内容説明
鎌倉幕府の実態は腐り果てていた。執権は遊びほうけ、内管領が政治を思いのままにしていた。幕府討幕の志が捨て去れぬ後醍醐天皇は、近しい者と密議を繰り返していた。そして、夢のお告げに現われた天皇親政の先駆けとなる武士・楠木正成に使いを送るが、幕府側に動きを察知されて――。戦乱の世を激しく生きた英雄たちを、情熱的な筆致で描いた著者渾身の歴史大河小説。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
うたまる
4
「これより世の中が変わるぞ。どのように変わっていくかわしにもわからぬ。だが変わることだけは確かじゃ。その変化の外に楠木家は立つことはできぬ」(楠木正成)……歴史で面白いのはやはり時代の変わり目。今回は鎌倉時代から建武の新政を経て室町時代に至る大河ドラマに挑む。太平記は南朝寄りのため、ある種のバイアスはやむを得ない。北条家や足利家の都合はこちらで考量しながら読み進めよう。と思ってたら、楠木正成が付近の荘園に略奪を仕掛けていた資料にも触れていた。やるな、森村誠一。おまけにこの表紙デザインがやけに好きだ。2014/05/18
ちゃま坊
2
再読。みごとに忘れていた。北方太平記「楠木正成」と併読。こちらの方がよくわかる。後醍醐天皇と鎌倉幕府の対立から話が始まる。★★2015/06/05
茅渟釣迷人
2
古本購入-売却2011/01/15
アンゴ
2
敗戦後皇国史観否定のため、学校や一般で取り合い難くなったこの時代だが、江戸時代から敗戦まで日本人の常識、価値規範として重要な位置づけにある民族的物語。徒に拒否したり功罪を論うのではなく、明治維新やその後の日本を客観的に理解するためには、日本人として知っておかねばならないと苦手意識を置いて一念発起。古典の方は手強いが推理サスペンスの巨匠が現代人に分かり易く噛み砕いて歴史絵巻を展開してくれて、大河ドラマより入り込み易く一気読み。全6巻の一巻は、1324-1331年後醍醐帝正中の変から楠木正成赤坂城挙兵まで。2014/03/14
カマネコ
2
学校では、あまり習った記憶のない南北朝時代。 鎌倉幕府の末期から室町幕府が興るまでの馴染み薄い時代を、 全6巻の大ボリュームで魅せてくれます。 後醍醐天皇、足利尊氏、楠木正成が生きた時代を小説で読みたい方へ。