文春文庫<br> ゲルマニウムの夜 王国記 I

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文春文庫
ゲルマニウムの夜 王国記 I

  • 著者名:花村萬月
  • 価格 ¥815(本体¥741)
  • 文藝春秋(2016/05発売)
  • ポイント 7pt (実際に付与されるポイントはご注文内容確認画面でご確認下さい)
  • ISBN:9784167642037
  • NDC分類:913.6

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内容説明

街で人を殺し、身を隠すため、自分が育った古巣の修道院兼教護院に舞い戻った青年・朧(ろう)。その修道院でもなお、修道女を犯し、神父に性の奉仕をし、暴力の衝動に身を任せて教護院の少年たちや動物に鉄拳をふるい、冒涜の限りを尽くす。あらゆる汚辱を身にまとう──もしや、それこそ現代では「神」に最も近く在る道なのだろうか? 世紀末の虚無の中、〈神の子〉は暴走する。目指すは、僕の王国! 第119回芥川賞を受賞した戦慄の問題作にして、「王国記」シリーズ第一作。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

absinthe

166
芥川受賞作『ゲルマニウムの夜』から始まる修道院のお話。神に最も近いはずの修道院は、上辺の清廉さの内側にセックスと暴力を秘めていた。糞まみれの舞台といった塩梅だが、暴力にまみれた描写ながら孤高の美しさまで感じる。殺した経験を持つ朧。カリスマ性が王国を作り上げていく様を描いた。修道院長への性奉仕、修道女との性交、神の掟を破りまくる。それにしても凄い話。 2021/08/07

kaizen@名古屋de朝活読書会

155
芥川賞】石原慎太郎が銓衡委員で絶賛している。たしかに石原慎太郎好みなのかもしれない。修道院に出戻りの男。修道女ではないアスピラント。ゲルマニウムは鉱石受信機(ラジオ)の鉱石の種類。キルヒホッフの法則について記述しているのが救いか。2014/05/28

ehirano1

80
こ、これは明らかに著者本人の経験を元にした作品としか思えません。ここまで生々しい描写は想像だけでは無理ではないでしょうか。読んでる最中、何かしらの匂いを終始感じていました。2015/09/26

パトラッシュ

71
旧作『ブルース』が暴力小説と称されたように、花村萬月は暴力をテーマとする日本で唯一の作家だ。その小説では多くの人が殺され、傷つけられ、犯され、辱められるが、陰湿さやいやらしさは微塵もない暴力の純粋さ美しさが描かれる。カトリック修道院を舞台に展開される肌に痛みを感じるほど激しい暴力と背徳のドラマの果てに、主人公の朧は周囲から崇高な存在と見なされるに至る。香油と香料と蝋燭の匂いの代わりに、血と腐敗と性交の悪臭に満ちた救世主キリストと神の王国が誕生する。それを納得させられる人物描写の筆力は何度読んでも凄まじい。2021/01/12

hit4papa

71
殺人を犯し、少年の頃暮らしていた修道院兼教護院に身を隠す青年 朧が主役の連作短編集です。著者の作品には、グロテスクともいえる暴力やあからさまな性的描写が多く見られます。そんな中にも、著者なりの美学があるのですが、本作品集にはどうにもそれを感じとることができません。本作品集に通底するのは、欺瞞に対する沸々とした憤懣でしょうか。読み進めると、朧の自己中心的な正義(?)にゲンナリしてしまいます。ただ、こういう露悪的なものにも惹かれるのは事実であり、それは、自分の暗黒面をくすぐるからなのだろうと思います。2019/09/04

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