内容説明
読者を翻弄する語り口を堪能できる折原一の「――者」シリーズ。本作のテーマは、あの酒鬼薔薇事件を彷彿とさせる“少年による殺人事件”だ! 犯人に直接インタビューする手法を採るノンフィクション作家・高嶺隆一郎。埼玉県で起きている連続失踪事件を取材するなかで、15年前の同様の事件との関連性が浮かび上がる。月曜日に女が消えること、「ユダ」「ユダの息子」というメモが残されること――。犯人はまた「少年A」なのか? 物語に縦横に張り巡らされた伏線と、その果てにたどり着く衝撃の結末を、とくとご堪能あれ!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
KAZOO
80
折原作品の得意とするあらゆる手段が入っていてそれがわけをわからなくしてしまいます。時間的な視点、様々な人物からの視点、手紙や手記などを多用する叙述トリック、本当に騙されないようにするには、読むほうもメモなどをしっかり取って読んでいく必要があります。そのようなことをしないで折原ワールドに身をゆだねてしまうのもありですが。2015/07/11
ダイ@2019.11.2~一時休止
77
~者その7。神戸連続児童殺傷事件がモデル。登場人物が冤罪者ともちょっと関連するノンフィクションライター。手紙がポイント?。2013/12/30
nobby
64
500頁超作品、一気読みだった!15年前と現在に同地区で発生した連続失踪事件。メッセージは“ユダ”と“ユダの息子”。そしてキーワードは“少年A”。時系列や人物描写などの様々な叙述トリック満載は流石。もう何度も心地良く読み返すしかない(笑)15年前の少年Aには何となく気付けたが、思わせ振りな後半は早くその正体を確認したくて仕方がなかった。やっぱりの後には驚きながら納得の収束がされていた。今まで読んだ折原作品の中でも素晴らしく混乱を楽しめた。2015/04/12
流言
55
一貫してダークな雰囲気で描き抜かれたハードミステリー。そのサイコパスめいた言動から真犯人の正体には速い段階で目星がつくものの、15年前の事件と二重に入り組んだ作品構造、そして立ちはだかる紙量が読者をエンディングへと駆り立て最後の一行を読み終えるまで解き放ってくれない。一つ残念な点があるとしたら、一番絶望の淵へ追いやってくれた藤原静香があっさり真犯人の手によってフェードアウトしてしまった点か。このジョーカーになりそうな人物が登場するのか最後まで気になっていたが数ページで解決されてしまってもったいなく感じた。2014/05/08
そのぼん
47
なんというややこしさ・・・。連続失踪事件や少年Aが軸になってストーリーが進みましたが、最後の最後たでまでオチが解らない展開が待ち受けていました。『ユダの息子』の招待には心の底から驚愕しました。2013/04/28