出版社内容情報
人工物の意味とは何か? この問いに、サイボーグを導き手とし、それについて紡がれた言説を批判的に辿ることで漸近する。意味を先取りした能力/機能の「拡張」から、使用の経験を記述可能な「延長」への生態学的な転回が人工物理解の新たな視座を提供する。
内容説明
「拡張」に席巻されたサイボーグ論を転回し、人工物を理解するための新たな視座を提供する。
目次
第1章 サイボーグ論の正統―「拡張」の技術論(サイボーグの誕生―一九六〇年、宇宙;サイボーグ思想の「原型」―『世界・肉体・悪魔』(一九二九) ほか)
第2章 サイボーグ論の転回―「延長」への定位(「拡大」する身体の意義―「延長」の分節に向けて;「延長」の起源を超えて―J・J・ギブソンの道具論 ほか)
第3章 『生まれながらのサイボーグ』解題(第三のextension―「外化」;『生まれながらのサイボーグ』―異形のサイボーグ論? ほか)
第4章 サイボーグ論の転回、そしてまとめ(サイボーグ論の「転回」―見込まれる効用;展望―理論化の方向性と課題 ほか)
著者等紹介
柴田崇[シバタタカシ]
北海学園大学人文学部教授。博士(教育学)。専門はメディア論、技術思想史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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shin_ash
7
知の生態学の冒険なるシリーズの1冊ででJ.J.ギブソンの継承なるサブタイトルが付いている。タイトルはサイボーグであるが本題は副題の「人工物を理解するため鍵」である。中身はガチの哲学的論考によってサイボーグに関する論理を中心に丁寧に論理を整理して、人工物の理解の鍵を提供する。本書は鍵の提供までであるがextensionを「身体性」に対して「拡張」「延長」「外化」の3つの含意があることを示し、その区別に注意しながら技術を評価することを提案する。技術や人工物とは何ぞや?とモヤっとしていたが良いヒントが得られた。2023/04/09