〈 教 育
の 今 〉 を 読 む 3 4 冊
教育の分野の議論では、なぜこんなにさまざまな暴論・妄論が、大きい顔をしてまかり通っているのだろうか。
――そんなことを研究の課題として考えはじめてから、もう15年ほどになります。 算数や英語の点数のような測定可能な「学力」を別にすれば、「教育の成果」というものは、長期的にしかわかりません。その場・その時には「ムダ」に見えたものが、ずっと後になって役立ったりすることもあるし、逆に、その場・その時には「よい教育」に見えたものが、後からみるとひどくつまんないものであったりすることもあります。教育は未来に向けた営みなので、その場・その時には、良否の結論がなかなか出ないものなのです。
それもあって、誰もが、自分の信念や願望を盛り込んで、いくらでも教育について語れてしまいます。「教育論」というジャンルは、信念や願望ばかりの暴論・妄論の山になります。
今回の企画を依頼されて、暴論・妄論に振り回されないで教育を考えていくための足場になりそうな本を、選んでみました。「トンデモ教育本」の毒を洗い落とすために、私が選んだ本を手に取っていただけると幸いです。
広田照幸
[ひろた・てるゆき]
1959年、広島県生まれ。東京大学大学院教育学研究科博士課程修了。 南山大学助教授などを経て、現在、東京大学大学院教育学研究科助教授。専攻は、教育社会学・社会史。『陸軍将校の教育社会史』(世織書房)でサントリー学芸賞受賞。主な著書についてはリストを参照ください。
| ■場所 | 紀伊國屋書店新宿本店5階カウンター前 | ■会期 | 3月1日(火)〜3月31日(木) | ■お問合せ | 紀伊國屋書店新宿本店5階売場 03-3354-0131 |
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