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二 十 五

あ た ら し い 、 詩 が は じ ま っ て い る
── 2 0 代 、 3 0 代 の 詩 人 た ち


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エッセイ:詩に、新しい時代がやって来た。
詩人たちの選ぶ3冊:
石田瑞穂選小笠原鳥類選キキダダマママキキ選久谷 雉選コマガネトモオ選斉藤 倫選杉本真維子選手塚敦史選永澤康太選藤原安紀子選三角みづ紀選水無田気流選
 
「現代詩手帖」とは
シリーズ「新しい詩人」第1弾、好評発売中!
シリーズ「新しい詩人」第2弾、9月末刊!
じんぶんやバックナンバー

杉本真維子
選者:杉本真維子さん指先を切ったあなたの顔のまえで
血のように出会う

1973年長野県生。2002年現代詩手帖賞受賞。03年『点火期』(思潮社)。

シルヴィア・プラス詩集 シルヴィア・プラス詩集

シルヴィア・プラス【著】、吉原幸子・皆見昭【訳】
思潮社(1995-04-01出版)
ISBN:4783724334

からっぽでいたいか、それとも、からっぽになどなりたくないか。ここではっきりとひとと分かたれ、弾かれ、別れてきたようにおもう。「花など要らなかった。ただわたしが欲しかったのは/掌を上に向けて横たわり空っぽでいること。」――でも血はこんなにも赤い!

詩篇アマータイム 詩篇アマータイム

松本圭二【著】
思潮社(2000-08-15出版)
ISBN:4783712077

やっぱりこれは外せません。詩的な言い方を放棄して“かっこいい!”と叫びたくなるようなことばの魅力に興奮しつつ、ただそれだけで終わるものとはわけがちがう。言葉がすとんと、まっすぐ心にしみ落ちて、凄く感動します。その両立って稀なことです。

人生論ノート 人生論ノート

三木清【著】
新潮社(1992-05出版)
ISBN:4101019010

ちらりと捲れるような思念のふちから裏がわへ、詩が逃げるようにまわりこんで隠れる。甘美な感傷に酔っている者をバッタバッタと斬っていきますので、どんな良薬よりもよく効いて、私にはかけがえのない本です。厳しくも、真実を突いていて、かつ、あたたかい。主に昭和13年に「文學界」で連載されていたものを収めた名論文集。


手塚敦史
選者:手塚敦史さん水のぬれかたを記す、紙の縁、余白すら、伝えようとするのをやめず、せいじょうな日めくりを、風は、一気に先へページをいそぎ…だし、おもだかがそよぎ、個がうずき、高まりだした意味も、手折る声にたおれゆく。――(この先々の暗澹)改行までBペンをそれる「数字」をあてがわれて、丸背の肩に途切れることなく切りつける、地帯一体をなぞるものとなる。

1981年山梨県生。2004年『詩日記』(ふらんす堂)。

稲川方人全詩集 1967-2001 稲川方人全詩集 1967-2001

稲川方人【著】
思潮社(2002-04-15出版)
ISBN:4783723176

首斜めに傾げて歩き、詩人の吐きだすホラが、いまでも土地をなでつけ、風を巻き起こしている。あなたの若い胸にも、ほら、降ってくる声。「光年ヲ、ボクハ、ワスレタ、カラ」。叶えてほしい。学生君が闊歩しながら向こうの、角で折れ曲がり、消えてしまった。

no picture 堀川正美詩集(現代詩文庫29)

堀川正美【著】
思潮社(1970-01出版)
ISBN:4783707286

はかなげに、ただはかなげに、昨日の電話は何だったのか、しみじみとなって、液晶の着信をぼんやり眺めていれば、目の中にすすむムシが堀川正美の詩句を運び入れ、昨日の時間にはもう及ばない。あの一行だった……。

じぶん・この不思議な存在 じぶん・この不思議な存在

鷲田清一【著】
講談社(1996-07-20出版)
ISBN:4061493159

ゆくえには貝殻とか、通って来た歓楽通りの一コマとか、どれも遡るためのヒメハブの動きに似ている。他者を思い浮かべ、私とは何かと。距離を思い浮かべ、関係とは何かと。急に浮かんだ彼奴と、話したくなる。


永澤康太
選者:永澤康太さんここに、醒(冷)めたまなざしが在る。どんなに獰猛な牙が襲おうとも、その瞳は安心し切っていて、決して身じろぐこともなかった。その瞳に釣り合わせるように、彼岸のまなざしもいつしか飼い慣らされてしまった。だが、ふいにこの断絶の溝が埋る。その瞬間、双方のまなざしは、再び太陽のまなざしの切実さをもちうるか。

1983年東京都生。2005年現代詩手帖賞受賞。

ジョン・ケージ 小鳥たちのために ジョン・ケージ 小鳥たちのために

ジョン・ケージ;ダニエル・シャルル【著】、青山マミ【訳】
青土社(1982-04出版)
ISBN:4791750829

芸術の死、作者の死、……その精緻なユーモアと示唆に富んだ語り口の端々から〈0(ゼロ)地点〉への危い誘いが微笑みかける。それに応じるか否かはあなた次第だ。いずれにせよ、いま立っている地面を揺るがしてくれることだけは間違いない。

戦後詩――ユリシーズの不在 戦後詩――ユリシーズの不在

寺山修司【著】
筑摩書房(1993-05-24出版)
ISBN:4480027394

まず、「詩人」のまとうイメージが悪い。自閉、孤高、倦怠、病気、破滅、……etc。本当は、「詩人」こそ高い関係形成(コミュニケーション)能力が必要なのだ。だって、彼らの仕事はあらゆる事象とおもしろい関係を結ぶことなんだから。「おはよう」すべてはそこからはじまる。……

長篇詩 ごろごろ 長篇詩 ごろごろ

吉増剛造【著】
毎日新聞社(2004-07-25出版)
ISBN:4620316989

かつての疾走詩人が40年の歳月を経て行き着いた、この前代未聞の「失踪の書」に、読者はいかに響き合っていけばよいのか。少くとも、冷めた視線(まなざし)はたちまち撥ね返されてしまうだろう。大丈夫、この書物はあらゆる読みの暴力に耐えうる――。


藤原安紀子
選者:藤原安紀子さんごきげんいかがですか。わたしは元気。わたしは天気足。ピィって読んでください。からだはカササギが兄貴。ぼくが島々を渡り口狂わすあいだは、ソフト帽に裸体で抱いていてね。決まり?メディテラネをごらん。線上にも、暴状にもきみたちは遠視でくる。きみたちこそばゆいここの太鼓劇場でしょ。

1974年京都府生。2002年現代詩手帖賞受賞。05年『音づれる声』(書肆山田、歴程新鋭賞受賞)。

SELF AND OTHERS SELF AND OTHERS

牛腸茂雄【著】
未来社(1994-06-15出版)
ISBN:4624710630

続く作品『見慣れた街の中で』(1981)、『〈幼年の「時間」〉』(1995)へといざないたいのです、ほんとうは。

東京〜奄美 損なわれた時を求めて 東京〜奄美 損なわれた時を求めて

島尾伸三【著】
河出書房新社(2004-03-20出版)
ISBN:4309016197

横書きの文字と脚注と、そしてもちろん写真を。きっと詭弁でしょうが。

no picture 君の時代の貴重な作家が死んだ朝に君が書いた幼い詩の復習

稲川方人【著】
書肆山田(1997-05出版)
ISBN:4879954047

時差にうっかりしてとんだことになりました。だからってそれが何だというのですか。


三角みづ紀
選者:三角みづ紀さん海と空と世界と感情の深さには歯がたたなかった。歯がたたなかったわたしはわたしのせかいでわたしなりにまっとうに生きようとする。けれど裏腹に孕んでしまうのだ。そうして産まれたわたしの子供たちはわたしとは別の道を歩んでゆく。

1981年鹿児島県生。2004年現代詩手帖賞受賞。04年『オウバアキル』(思潮社、中原中也賞受賞)。

no picture 順風満帆―松井啓子詩集

松井啓子【著】
思潮社(1987-05-01出版)
ISBN:4783702160

あまりにも衝撃が大きすぎる一冊。松井さんは、もう詩の世界を離れたらしいのですが、この世界のどこかで今も爪を研いでいるに違いないのです。必読です。

モリッシー詩集 モリッシー詩集

モリッシー【著】、中川五郎【訳】
シンコー・ミュージック(1992-04-08出版)
ISBN:440161349X

読んでいると死にたくなる。反面、生きたくなる。つまり、悲しくなる。

花豆の煮えるまで―小夜の物語 花豆の煮えるまで―小夜の物語

安房直子【作】、味戸ケイコ【絵】
偕成社(1993-03出版)
ISBN:4035401005

小学校の図書館で出会って以来、何度、読み返したかわかりません。私の世界観をつくりあげた一冊。鬼、山姥、花豆、今現在、私の作品にでてくるものらは、この本から飛び出して、こころに根付いている。大人の為の童話集。


水無田気流
選者:水無田気流さん詩は、読まれるたびに詩になっていくものだと、私は考えます。作者の意図は、作品を生み出す契機ではあっても、それが作品のすべてではない、とも思っています。解釈や感慨が幾通りにも膨らみ続ける間、作品はたしかに生きつづけます。どうぞ、読んでみて下さい。私以上に私の詩を「読む」ことができる方を、私は切望しています。

1970年神奈川県生。2003年現代詩手帖賞受賞。05年『音速平和』(思潮社、中原中也賞受賞)。

河原荒草 河原荒草

伊藤比呂美【著】
思潮社(2005-10-31出版)
ISBN:4783721017

雑草/荒草――帰化し、根づき、繁殖し、抜かれても抜かれても獰猛に生えてくる。荒草のように移動する人々が繰り広げる、終わりなきロード・ムービー。「あらゆるものを吸い込んだ茎」のように、言葉も、伸び広がっていく。

モリッシー詩集 モリッシー詩集

モリッシー【著】、中川五郎【訳】
シンコー・ミュージック(1992-04-08出版)
ISBN:440161349X

「恐ろしいまでに晴れわたった日/墓地の入り口できみと待ち合わせ/きみのそばにはキーツとイェーツ/一方ぼくのそばにはワイルドだ」。永遠の思春期、なんて陳腐な表現はしたくない。リリック、ポエトリー、なんて区分はどうだっていい。モリッシーは詩人、なのだから。

文化の窮状―二十世紀の民俗誌、文学、芸術 文化の窮状―二十世紀の民俗誌、文学、芸術

ジェイムズ・クリフォード【著】、太田好信・慶田勝彦・清水展・浜本満・古谷嘉章【ほか訳】
人文書院(2003-01-20出版)
ISBN:440903068X

ウィリアム・カーロス・ウィリアムズの詩の引用から始まり、今日文化のおかれた「窮状」を精密に書き表していく――「二十世紀のアイデンティティを考えるに際し、もはや継続的な文化や伝統を前提とすることはできない」。重厚ながら決して難解ではない、刺激的な一冊。

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