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巽孝之著「フルメタル・アパッチ」は、日本とアメリカの関係性についての思索の書であります。現代の批評理論に透徹する著者が、高級芸術、前衛芸術からポップカルチャーに渡る文化全般への深い洞察のもと、日米間の「異文化感染に満ち相互交渉」のダイナミクスを浮上させていきます。以下、「とんでもなくハイスピードで駆け抜ける前代未聞の美学的冒険」(ラリィ・マキャフリー)と評される巽氏の縦横無尽な想像力と共振するテキスト50冊を紹介します。
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九鬼周造【著】
岩波書店(2003-04-15出版)
ISBN:4061596276 |
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土居健郎【著】
弘文堂(2001-04-20出版)
ISBN:4335651066 |
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井上章一【著】
紀伊國屋書店(1995-05-30出版)
ISBN:4314007052 |
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猪瀬直樹【著】
小学館(2005-04-01出版)
ISBN:4094023127 |
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小泉凡【著】
恒文社(1995-11-20出版)
ISBN:4770408439
ラフカディオ・ハーンすなわち小泉八雲の曾孫にあたる気鋭が、元祖クレオール的主体(わたしの言う「ジャパノイド」)八雲こそは、民俗学の祖にして『遠野物語』の著者・柳田国男の先覚者だったことを解き明かす。
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岸田秀【著】
新書館(1997-02-05出版)
ISBN:4403230482 |
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村上由見子【著】
朝日新聞社(1993-02-25出版)
ISBN:4022595698
オリエンタリズムの限界を突破する出色の文化研究。 |
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下河辺美智子【著】
みすず書房(2006-06-25出版)
ISBN:4622072181 |
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ウィリアム・M・ツツイ【著】、神山京子【訳】
中央公論新社(2005-10-10出版)
ISBN:4120036774 |
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小松左京【著】
角川書店(1997-01-25出版)
ISBN:4041308011
新人類の出現と日本国家の解体は、以後の『日本沈没』(光文社、1973年)から谷甲州との共作『日本沈没 第二部』(小学館、2006年)、塚本晋也監督のサイバーパンク二部作『鉄男』にも多大な影響を及ぼした。 |
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小谷真理【著】
集英社(2005-08-30出版)
ISBN:4834251217 |
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大原まり子【著】
早川書房(1993-08-31出版)
ISBN:4150303932
日本人女性作家によるサイバーパンク文学の極北。 |
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吉見俊哉【著】
弘文堂(1987-07-10出版)
ISBN:4335550294
東京の拠点が浅草から銀座、新宿、渋谷へと時代を追って変遷し移動していったプロセスを克明に探究しつつ、20世紀日本全体の都市文化史をスペクタクルの本質をふまえて思考した名著。とくに西武パルコ文化の分析は白眉。 |
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森川嘉一郎【著】
幻冬舎(2003-02-27出版)
ISBN:4344002873
下記の吉見の著作と併読すれば、20世紀以降の壮大な都市精神史が見えてくる。 |
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花田清輝【著】
講談社(1994-10-10出版)
ISBN:4061962949
今日、本書を読み直すことは、すべてのアヴァン・ポップの源流を確認することに等しい。 |
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赤瀬川原平【著】
筑摩書房(1987-12-01出版)
ISBN:4480021892
マルセル・デュシャンやアンディ・ウォーホル以後のダダ、ポップアートを自家薬籠中のものとし、ウィリアム・ギブスンらサイバーパンク作家のジャンク・アート美学にヒントを与えた日本人ネオ・ダダイストの古典。
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安部公房
講談社(1994-01出版)
ISBN:4061962558 |
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沼正三【著】
幻冬舎
出版:
1999-08-25出版(1巻)、
1999-08-25出版(2巻)、
1999-08-25出版(3巻)、
1999-08-25出版(4巻)、
1999-08-25出版(5巻)
ISBN:
4877287817(1巻)、
4877287825(2巻)、
4877287833(3巻)、
4877287841(4巻)、
487728785X(5巻) |
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長山靖生【著】
青弓社(1992-10-30出版)
ISBN:478729069X |
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寺山修司
思潮社(1987-06出版)
ISBN:4783722749 |
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筒井康隆【著】
角川書店(2006-06-25出版)
ISBN:4041305225
1973年に小松左京の原典『日本沈没』がベストセラーとなったのちの1974年、星新一の原案で著者が執筆したパロディにしてブラックユーモアの極北。本書併録の「アフリカの爆弾」は、ピンチョンにも先駆けた名作だ。 |
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永瀬唯【著】
青弓社(1996-12-30出版)
ISBN:4787231316 |
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巽孝之・荻野アンナ【編著】
慶應義塾大学出版会(2006-08出版)
ISBN:4766413016
詩集『血と蜜』(愛育社)などでも知られるプログレメタル・ユニットALI
PROJECTのリードヴォーカルにしてゴスロリの元祖・宝野アリカを迎え、ガイノイドからバービー、芸者まで、新世紀の美学を徹底検証。
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島田雅彦【著】
講談社(1995-05-15出版)
ISBN:4061859730 |
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坂手洋二【著】
カモミール社(2005-08出版)
ISBN:4907775326 |
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笙野頼子【著】
集英社(2004-10-10出版)
ISBN:4087747204
ラリイ・マキャフリイと出会って以後、彼女ほど深く鋭くアヴァン・ポップ理論を刷新してきた作家はいない。とくに『ドン・キホーテの「論争」』(講談社、1999年)と『渋谷色浅川』(新潮社、2001年)を参照。
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小林エリカ【著】
マガジンハウス(2002-08-22出版)
ISBN:4838713797
9.11以後のピンチョン的反戦宣言。著者はアニメ『爆弾娘の憂鬱』でデビュー、長篇『ネバーソープランド』(河出書房新社、2001年)で『ピーター・パン』と『愛のコリーダ』を融合したアヴァン・ポップ最若手。
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佐藤哲也【著】
文藝春秋(2001-05-30出版)
ISBN:4163200509
北米アヴァン・ポップの旗手とされるマーク・レイナーらに匹敵するのは、日本ファンタジーノベル大賞出身の著者だろう。どれも珠玉の作品だが、優れた日本論としては『沢蟹まけると意志の力』(新潮社、1996年)もお薦め。
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t.o.L【著】
平凡社(2002-10-20出版)
ISBN:458228244X
アヴァン・ポップ映像の達成。 |
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是枝裕和【著】
角川書店(2006-06-03出版)
ISBN:4048737023
画期的なドキュメンタリー映像で知られる是枝監督は『ワンダフル・ライフ』や『誰も知らない』(二〇〇四年)により国内外で高い評価を受けてきたが、これは時代劇コメディの衣装をまとった巧妙なる非戦映画の小説版。
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Mark & Amerika Lance Olsen【編】
SDSUP(1995年出版)
ISBN:1879691329
ラリイ・マキャフリイ提唱になるポストモダニズム批判の芸術動向「アヴァン・ポップ」に関する論考を集約したスリリングな論文集。 |
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Alfred.Birnbaum【編】
講談社インターナショナル(1993-07出版)
ISBN:4770016883
村上春樹の長篇翻訳でも知られる編訳者が、高橋源一郎から大原まり子まで、ポストモダン日本文学の先端をみごとな文体に移植した、英訳アンソロジー。
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Larry McCaffery【編】
Duke UP(1991-12出版)
ISBN:0822311682
サイバーパンク批評アンソロジーの古典。本書をジャンピング・ボードとして生まれた文学理論が、日本側特別編集のラリイ・マキャフリイ『アヴァン・ポップ』(筑摩書房、1995年;北星堂書店、2006年10月刊行予定)に結実した。
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David Seed【編】
Blackwell(2005-07出版)
ISBN:1405112182
現在、最も世界的な視野を持ち最も包括的なSFジャンルへの入門書。 |
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Thomas Foster【著】
Univ of Minnesota Press(2005-05出版)
ISBN:0816634068
サイバーパンクと黒人文学を架橋する出色の批評。 |
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Gerald Robert Vizenor【著】
Univ of Nebraska Press(2003-09出版)
ISBN:0803246730
アニシナーベ族出身にして「ポスト・インディアン」を自称するヴィゼナーは、メルヴィルからラフカディオ・ハーンすなわち小泉八雲を経由して発展した環太平洋的想像力を全開、核時代の日米混血文化の本質に迫る。
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Marilyn Ivy【著】
Univ of Chicago Press(1995-05出版)
ISBN:0226388336
高度成長期から高度資本主義時代へ、「ディスカバー・ジャパン」から「エキゾチック・ジャパン」への移行において日本的民俗学がどのように再利用されたかを、柳田邦男『遠野物語』を中核に据えて分析した名著。 |
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Kyoko Hirano【著】
Smithonian Institute Press(1994-03出版)
ISBN:1560984023
映画研究家・平野共余子がニューヨーク大学に提出した博士号請求論文であり、邦訳『天皇と接吻』は草思社より。のちに劇団・燐光群を主宰する劇作家・坂手洋二が『天皇と接吻』として舞台化し、多くの賞に輝いた。 |
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Roland Barthes【著】
Farrar Straus & Giroux(1983-10出版)
ISBN:0374522073
宗左近訳『表徴の帝国』(筑摩書房、1996年)。 |
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William Gibson【著】
Bantam Dell Pub Group(1993-09出版)
ISBN:0553074997
浅倉久志訳『ヴァーチャル・ライト』(角川書店、1995年)。1980年代の『ニューロマンサー』に始まる電脳空間三部作から一転、1990年代のギブスンは廃墟空間とでもいうべき方向で、本書から『あいどる』『フューチャーマチック』と続く新三部作を発表、多くの読者を魅了した。 |
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Scott Bukatman【著】
Duke UP(1993-06出版)
ISBN:0822313405
ニューウェーヴとサイバーパンクを接続したポストモダンSF論。 |
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H. Bruce Franklin【著】
Oxford UP(1990-10出版)
ISBN:0195066928
レーガン政権の戦略防衛構想とアメリカSFの大衆的想像力がいかなる深層において共犯関係にあるか、しかもそれがいかにアメリカ独立革命以後の軍事思想および軍事兵器から連綿と受け継がれたものであるかを物語る。 |
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Karl Taro Greenfeld【著】
Perennial(1995-09出版)
ISBN:0060926651
英語圏に「おたく」”The Otaku”の一語を植え付け、絶大な影響力をふるった現代日本文化論。 |
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Susan J. Napier【著】
Palgrave Macmillan(2001-04出版)
ISBN:0312238630
大江健三郎や三島由紀夫の研究から出発し、日本美術史およびジャポニズムの広範な知識を背景に、気鋭の日本文学研究者が斬り込んだアニメ批評の金字塔。神山京子訳が中央公論新社『現代日本のアニメ』(2002年)。 |
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Steven Brown【著】
Palgrave Macmillan(2001-04出版)
ISBN:1403970602
最先端アニメ批評集成。 |
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Walter Benn Michaels【著】
Princeton UP(2004-04出版)
ISBN:0691118728
新歴史主義批評の大御所が、自然主義やモダニズムの文学史的古典からはるかに跳躍し、9.11同時多発テロ以後の視点より、キャシー・アッカーやギブスン、ニール・スティーヴンスンらのポストモダニズム文学へ挑戦する。 |
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Homi K.Bhabha【著】
Routledge(2004-10出版)
ISBN:0415336392
ポストコロニアリズム理論を「擬態」のメカニズムより解き明かす。本橋哲也ほか訳が『文化の場所-ポストコロニアリズムの位相』(法政大学出版局、2005年)。 |
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Donna J.Haraway【著】
Routledge(1991-03出版)
ISBN:0415903874
ハラウェイの「サイボーグ宣言」(初出1985年)は文化研究の古典。邦訳に、巽孝之&小谷真理共訳『サイボーグ・フェミニズム』(トレヴィル版1991年、水声社版2001年)と高橋さきの訳『猿と女とサイボーグ』(青土社)。 |
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Geoff Waite【著】
Duke UP(1996-07出版)
ISBN:0822317192
著者はニーチェをフィリップ・K・ディックやウィリアム・ギブスンらの電脳小説に見られるポストヒューマニズムで再解釈する気鋭の哲学者であり、サイバーパンク的文化誤読の理論から哲学史を再構築しようと試みる。 |
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