『吉本隆明 五十度の講演』ギネス認定&DVD『吉本隆明 語る』発売記念
「紀伊國屋書店スタッフによる『五十度の講演』徹底解剖!」インタビュー
【その2.全部見せます!『五十度の講演』CDセット】
――次はいよいよ、『吉本隆明 五十度の講演』ですね。今日はこれまで説明する
機会のなかったところまで、少しつっこんで紹介して頂けますか。
大籔
任せて下さい! ちゃんと私、自腹で買っていますから(笑)。
本当はお店で実物を見て頂きたいんですが、なかなかご説明できる機会はないので、この機会に徹底的にご紹介しますよ!
大籔 まず、サイズから。まあ、大きいわけですけれども、ウェブだと分かりづらいので、広辞苑、iPhoneと比較してみましょう。
――やっぱりデカい! こうしてみると、広辞苑が小さく見えてきますね(笑)。それで、このバインダーにCDが収まっているのですか。
大籔
はい。CDバインダーを開くと、こんな感じになっています。
大きい商品ではありますけど、115枚のCDをコンパクトにまとめるため、色々考えられたようです。その結果、強度の問題から2つのバインダーに分かれたと(笑)。
半分がA、もう半分がBですね。
大籔
CDはこんな感じで一ページに3枚ずつ、見開きで計6枚、入っています。
大籔 収納場所を示すラベルもあります。
大籔 そして115枚の最後の最後、Bのバインダーの終りに、ここまでのCD全てが収まったMP3が入っています。
CDセットには、ご自宅のオーディオですぐ再生できるCD、パソコンやiPodに取り込んで聞く方に便利なMP3。両方入っているのですね。
大籔 ちなみに、このMP3の盤面は吉本さんの家の書斎です。
吉本さんはこの拡大鏡で拡大した文字をテレビにつなげて、すごく大きくして読まれるんです。
それからこの漱石の写真は娘さんがペタペタ貼られたものだとか(笑)。
――ペタペタ(笑)、なんだか良い話です。『五十度の講演』はCD115枚のほか、ブックレットが入っているということですが。
大籔
はい、これが年表や解説などを収録したブックレットです。だいたい190ページぐらいですね。
大籔 まず開くと、直筆の前書きがあります。
このまえがき、好きなんですよねー。
大籔
で、次にこんな感じで年表があります。
それぞれの年に、吉本さんが行った講演が網羅されています。
これを見ると46才まで別のお仕事をしながら、執筆活動もされていたということが分かるわけです。 考えられないことですよ(笑)。
大籔
次はブックレットの中心となっている解説です。
一つの講演をブックレット3〜5ページで解説しています。
大籔 一つの講演は時間の長さで分けられて、何枚かのCDに分けて収録されているのですが、
CD1枚分の大きな段落が、ブックレットでは一つの大見出しに対応しています。
さらに1枚のCDの中でも、ブックレットの小見出しごと、チャプターに分かれています。
大籔
それで、例えばこの『五十度の講演』のなかで最長の「南島論」。
これは1970年、紀伊國屋ホールでやったものですが、281分の講演がCD3枚分に分かれています。ちなみに音質も紀伊國屋ホールのLINEで取っているので最高の星五つ。
大籔 「南島論」はレビューを書くのに一番苦労したもので、これまで5回は聞きました。
とても難しい講演なので、281分を頭から追って聞くだけでは、きっともう迷宮入りですよ(笑)。何回聞いたって分からないかもしれない。
でも、そういう時に使いたいのがブックレットなんです。
大籔 講演ごとの解説では要所要所で講演に対応した図解が入っていて、「南島論」だったら関連資料としての地図や概念図が入っています。
大籔
さらに、長くて難しい「南島論」もCDの1チャプターは大体10分くらいに収まっているのですが、それがブックレットではチャプターごと、2〜3行で要約されているんです。
これは大変価値ある労作ですよ。ざっと目を通してから聞けば、難しいお話もずいぶん理解できるようになるんですから。
もう迷宮入りする心配もありません(笑)。
――なるほど、2〜3行の要約。これは確かに有難いものですね。CDセットはこれで全部ですか。
大籔
いえいえ。忘れちゃいけないものが残っています。ファンにたまらない直筆色紙のプリント版。
吉本さんがほとんど目の見えない状態で、『五十度の講演』CDセットのためだけに一文字一文字、書いていったものです。
文章は吉本さんがよく引かれる、「銀河鉄道の夜」遺稿からの引用です。
大籔 さらに、コレクターズアイテムでもある『五十度の講演』CDセットには、それぞれたった一つしかないシリアルナンバーが入っています。
僕のは「0592A」ですね。
このシリアルナンバーは、将来吉本さんの全講演がフリーアーカイヴとしてアクセスできるようになった時、そこに貢献をした証になるわけです。「オレのおかげでみんな聞くことができるんだ。」という感じを味わうことができますね(笑)。
――『五十度の講演』におさめられた講演を堪能できるのはもちろん、さらにフリーアーカイヴへの貢献が形に残るのがCDセットの特別なところですね。『五十度の講演』CDセットの詳細、お申し込み・お問合わせはこちらから。
2009/07/13
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