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二 十 三

進藤栄一選


ポ ス ト < 東 ア ジ ア >
― 東 ア ジ ア 共 同 体 を 設 計 す る ―


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進藤栄一さんエッセイ:東アジア共同体の逆説
1.「東アジア共同体とは何か」を知るために
2.日中関係から東アジア共同体を考える
3.靖国、東京裁判、戦争責任を考える
4.環境、農業、地域主義、外交を考える
5.通貨と通商と投資から見る
6.朝鮮半島をどう見るのか
7.変わる東南アジアを探る
8.「アジアとは何か」を考え直す
9.ヨーロッパの経験から学ぶ
10.専門書:さらに関連分野に足を踏み入れてみたい人のために
11.最後にインターネットで
進藤栄一さんの本
じんぶんやバックナンバー


東アジア共同体の逆説   東アジアに「共同体など出来っこない」という議論が大手をふるっていたのに、ここ数年風向きはすっかり変わってしまった。いまや「アセアン + 3 (日中韓)」を軸に一歩一歩、共同体の道のりがつけられている。昨年12月にはクアラルンプールで、「アセアン + 3」の会合が東アジア・サミットとともに開かれ、共同体の輪郭も見え始めた。このところ新聞紙上に「東アジア共同体」の文字を見かけない日はない。いったい東アジア共同体とは何であるのか。なぜこれほどまでに構築が疑問視されてきたのに、いま統合の動きが加速され続けているのか。

どうやらそこには、東アジア共同体の逆説とでもいうべきものが隠されているようだ。逆説は、共同体懐疑論のそれぞれに及んでいる。

第1に、共同体をつくることは「大中華帝国」に呑み込まれることになるという中国脅威論から来る懐疑論だ。しかし選書2「日中関係から東アジア共同体を考える」で見るように、現実は「中国の経済力が日本を超える日」が不可避であるばかりでなく、中国との共存なくして日本の繁栄はありえないほど両国の相互依存が深化している。しかも相互依存は、韓国やアセアンを介在して広く東アジア一帯に及んで、その制度化を促し続けている。中国脅威論の逆説である。

第2に、靖国などの歴史問題が残るかぎり共通の文化は生まれず、共同体など出来ないという文化的懐疑論だ。しかし共同体の議論が深まれば深まるほど、現実は、偏狭なナショナリズムを克服する動きを逆に増し続けるばかりでなく、私たちの心と歴史のひだに潜むアジア主義を目覚めさせて、統合の動きを支えつづけていく。文化的懐疑論の逆説である。

第3に、共同体の形成には米国が反対し、日米安保にも反することになるという懐疑論だ。だがそこから明らかになってくるのは、ポスト冷戦後の世界で私たちの直面する危機が、軍事よりもむしろ、金融危機や環境劣化、飢餓や貧困問題、海賊やテロなど非伝統的安全保障領域の問題であって、その解決に冷戦期の軍事安保が容易に機能しないという現実である。そして逆にアジア域内の地域協力が求められ、実際に東アジア域内の市民たちがそれぞれの領域で地域協力の歩みを強めつづけている現実だ。軍事安保論の逆説である。 いま、それら三様の逆説の中から、東アジア共同体の輪郭がこれまでになく浮き彫りにされてきているのである。

【進藤栄一】


選者:進藤栄一[しんどう・えいいち]
選者:進藤榮一さん 筑波大学大学院名誉教授。江戸川大学教授、グローバルアジア研究センター長。 京都大学法学部卒。法学博士(京大)。プリンストン、ハーバード、延世大学、マレーシア戦略国際研究所などで研究員、客員教授。東アジア共同体評議会有識者議員。この度、3年間続けてきたアジア共同体研究会を、日中韓三カ国の研究者からなる「国際アジア共同体研究学会」にランクアップしました。東アジア共同体の創設に向けて、国際研究ネットワークの構築にいっそう力を注いでいきます。

最近著に『東アジア共同体を設計する』(日本経済評論社)。主要著書に『現代アメリカ外交序説』(創文社、吉田茂賞)、『現代紛争の構造』、『アメリカ 黄昏の帝国』、『戦後の原像』、『分割された領土』(いずれも岩波書店)。『敗戦の逆説』(ちくま新書)、『現代国際関係学』(有斐閣)、『脱グローバリズムの世界像』、『アジア経済危機を読み解く』(いずれも日本経済評論社)など多数。

近訳書に『歴史の教訓』、『国際関係論とジェンダー』(いずれも岩波書店)など。

進藤栄一さんの著作
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『現代アメリカ外交序説―ウッドロー・ウィルソンと国際秩序』

進藤栄一【著】
創文社(1974年出版)

現代紛争の構造―非極モデルの構築のために
進藤栄一【著】
岩波書店(1987-06-26出版)
ISBN:4000005944

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進藤栄一【著】
岩波書店(1988-05-26出版)
ISBN:4000006053

非極の世界像―国際政治の読み解き方
進藤栄一【著】
筑摩書房(1988-05-30出版)
ISBN:4480051139

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進藤栄一【著】
筑摩書房(1992-08-30出版)
ISBN:4480051775

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進藤栄一【著】
時事通信社(1990-10-15出版)
ISBN:4788790262

アメリカ 黄昏の帝国
進藤栄一【著】
岩波書店(2004-10出版)
ISBN:400430363X

戦後の原像―ヒロシマからオキナワへ
進藤栄一【著】
岩波書店(1999-07出版)
ISBN:400023613X

敗戦の逆説―戦後日本はどうつくられたか
進藤栄一【著】
筑摩書房(1999-04出版)
ISBN:4480057935

現代国際関係学―歴史・思想・理論
進藤栄一【著】
有斐閣(2001-10-20出版)
ISBN:4641059942

分割された領土―もうひとつの戦後史
進藤栄一【著】
岩波書店(2002-11-15出版)
ISBN:400600091X

脱グローバリズムの世界像―同時代史を読み解く
進藤栄一【著】
日本経済評論社(2003-02-20出版)
ISBN:481881444X

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『国際公共政策』

進藤栄一【著】
日本経済評論社(2006年12月出版)

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三宅一郎、山口正、村松岐夫、進藤栄一【共著】
有斐閣(1985-04出版)
ISBN:464102457X

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『日ソ平和の条件』

国際親善交流センター
にんげん出版(1987-01出版)

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進藤栄一【著】
日本評論社(1986-01出版)
ISBN:4535575894

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進藤栄一、下斗米伸夫【著】
社会評論社(1992-04出版)
ISBN:4784503374

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進藤栄一【著】
岩波書店(1992-04-20出版)
ISBN:4000031880

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「Beyond Friction」

New Year of US=Japan Relations,co-edited with F. Que Quo , Simon Fraser University Publications,1993

アジア経済危機を読み解く―雁は飛んでいるか
進藤栄一【編】
日本経済評論社(1999-05-10出版)
ISBN:4818810673

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「Constructing East Asian Security Regime」

edited, Tsukuba University Publication, 2002.

動き出した朝鮮半島―南北統一と日本の選択
吉田康彦・進藤栄一【編】
日本評論社(2000-10-20出版)
ISBN:4535582823

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『東アジア共同体の道』

進藤栄一【著】
筑摩書房(2006年刊行予定)

東アジア共同体を設計する
進藤栄一・平川均【共編】
日本経済評論社(2006-06出版)
ISBN:4818818755

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『芦田均日記』
<1巻><2巻><3巻><4巻><5巻><6巻><7巻>

芦田均【著】、下河辺元晴・進藤栄一【編】
岩波書店

【出版】
1991-09-04出版(1巻)
1986-02-20出版(2巻)
1986-03-28出版(3巻)
1986-05-28出版(4巻)
1992-01-08出版(5巻)
1992-02出版(6巻)
1992-03出版(7巻)

【ISBN】
4000087517(1巻)
4000087525(2巻)
4000087533(3巻)
4000087541(4巻)
400008755X(5巻)
4000087568(6巻)
4000087576(7巻)

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叢書・国際公共政策』 全20巻刊行中

進藤栄一【総編集】
日本経済評論社

公共政策への招待
進藤栄一【編】
日本経済評論社(2003-07-01出版)
ISBN:4818815071

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『レーニン<><>』

ルイス・フィッシャー【著】、猪木正道・進藤栄一【訳】
筑摩書房(1988-05-25出版(上)、筑摩書房(下))
ISBN:4480854428(上)、4480854436(下)

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『政治的時代』

ハーヴェイ・フィラー【著】、進藤栄一【訳】
ブリタニカ日本支社(1968年出版)

国際秩序と正義
チャールズ・ベイツ【著】、進藤栄一【訳】
岩波書店(1989-04-21出版)
ISBN:4000008161

歴史の教訓―アメリカ外交はどう作られたか
アーネスト・R.メイ【著】、進藤栄一【訳】
初版/中央公論社(1977年出版)
改訳新版/岩波書店(2004-04-16出版)
ISBN:4006001207

国際関係論とジェンダ−
アン・ティックナー【著】、進藤久美子・進藤栄一【共訳】
岩波書店
(2005-11出版)
ISBN:4000228587

国際アジア共同体研究学会
<この度、3年間続けてきたアジア共同体研究会を、日中韓三カ国の研究者からなる「国際アジア共同体研究学会」にランクアップしました。東アジア共同体の創設に向けて、国際研究ネットワークの構築にいっそう力を注いでいきます。>
http://www.s.soka.ac.jp/~ahayashi/asia/sindo.htm

・目的:東アジア共同体の構築に関する研究教育の発展に相互に寄与し合い、その実現に向けて協力し合うことを会の目的とする。
・事務局:日本と韓国と中国のそれぞれにおき、当面統括的機能は日本が持つも、将来的にはアセアン諸国等も含め、分担体制をとる。
・活動:会誌の発行、研究例会の継続、年次大会の開催、国際会議の開催、東アジア共同体評議会との連携、東北アジア研究ネットワークとの連携を目指す。
設立趣旨

 かつての私たちの敗戦が、アジア諸民族の独立を幇助して「東亜の解放」をもたらしたように、いままたバブル崩壊後の日本の「第2の敗戦」が自国内産業の空洞化を生みながらも、アジアへの資本輸出と技術移転、政府開発援助とを通じ、新興工業経済群(NIES)やASEAN、中国の経済発展を幇助して市民社会を台頭させています。その台頭が、アジア資本主義市場を成熟させ、東アジア諸国家問の経済的政治的格差を縮めながら、日本の構造改革と経済再生を支え、共同体形成の条件を醸成しつづけています。東アジア諸国家の経済統合と民主化の動きが、日本の構造改革と相互に連動し、共同体の形成を促していく論理です。
 そしていま、歴史問題や領土論争が表面化する中で、中国の成長と拡大とを東アジア秩序の安定と発展に関与させて共生の途を拓くために、改めて東アジア共同体の構築が、アジア地域の共通課題として設定されるに至っています。知が価値をつくる知識基盤社会下の21世紀世界にあって、私たちにいま問われているもの―それは、来たるべき東アジア共同体のシナリオを、知が、どう描いて、その政策課題と制度設計をどう構想・立案し、諸国家とともに実現していくのか、そのために、国境を越えた知的インフラと市民ネットワークとをどうつくり、アジア共同体市民意識(アイデンティティー)の形成につなげていくかです。
 そうした21世紀世界の最先端課題に応えるため私たちは、一昨年2003年12月以来、有志相集い、ささやかな研究会を持ち、鋭意研鑽につとめてきました。このたび会の門戸を、ひろく志と関心を共にするジャーナリストや研究者、大学院学生や市民に開放し、機会を共有していくことにしました。以下の要領に従い、次回会合を持ちます。アドホックな参加も歓迎いたします。

【進藤栄一】

最近の活動

東アジア共同体を制度設計する』出版記念シンポジュウム
日時:06年6月24日(土)午後2時より5時半まで。
会場:日本大学法学部水道橋校舎、2号館2階221教室。
テーマ「東アジア共同体をどう設計するのか」

ソウル国際シンポジュウム
日時:06年3月30日(木)
テーマ「東アジアの公共政策と共同体設計」

当研究会はソウル国際シンポジュウム「東アジア共同体を考える:公共政策と制度設計」を開催いたしました。 来年度は中国海洋大学で開催の予定です。
関心のある方は事務局までご連絡ください。

■場所紀伊國屋書店新宿本店5階カウンター前
■会期 7月2日(日)〜7月31日(月)
■お問合せ紀伊國屋書店新宿本店 5階売場 03-3354-0131 

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