内容説明
大学生の僕・御城彼方（みじょうかなた）の下宿先は、あの世とこの世の間に存在する幽落（ゆうらく）町のアパート。すっかり町に馴染んだ僕は、駄菓子屋「水無月堂（みなづきどう）」の店主で大家さんでもある水脈（みお）さんとともに、幽霊や妖怪から持ち込まれる悩み事やトラブルを解決する日々だ。ある日、駄菓子屋の用心棒猫目さんと大掃除の中、見慣れる瀬戸物を見つける。その正体は付喪神だった。「まだ使えるのに捨てられてしまった」ために人間を恨むようになり、その憂いが彼らをアヤカシにしてしまったことに気が付いた水脈はある提案をする。ほっこり、謎ときミステリー、第７弾！
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人００９
158
あんまり怖くはないけれど一応ホラー文庫から出ている癒し系ユーモア怪談噺「幽落町おばけ駄菓子屋」シリーズの７冊目です。今回も物語の根底に流れている精神は人としてのとても立派な教えでちゃんと一本筋が通っているのが素晴らしいですよね。ふちの欠けた瀬戸物の付喪神からは「物を粗末にせずに大切に」、「雷獣（らいじゅう）と海のケガレにはご用心すべし」というのは教訓でも何でもないですがね。今回が初登場の琵琶の代わりにエレキギターを持った海座頭の朱詩（あかし）さんがご陽気に関西弁でしゃべってくれていい味が出ていましたよね。2019/12/30
りゅう☆
115
物をため込んだ猫目さんの所に集まった瀬戸物にも思いがあり、新しい物を買うばかりでなく物を大切にすることを改めて再確認した『あめのひに』。雷獣の子は無事に辿り着いたかな?元医者の都築さんの優しさにも触れた『いなずまのこども』。海座頭の朱詩登場。家族の死は悲しいけど残された者は生きていかなきゃね『もどるものたち』。『うみからきたもの』って『深海カフェ』とコラボ？そのシリーズも読んでたらもっと嬉しかっただろうな。おなじみの幽落町メンバー、特に彼方と真夜さんの仲の良さにほっこり。次はどんなアヤカシに会えるかな？2018/05/09
ひめありす＠灯れ松明の火
66
彼方君の大学二年生、梅雨から初夏にかけての瑞々しい季節の物語。まだ将来の夢の定まらない彼方君だけど、よいものはたくさんあると思うのです。大体このころ夢見たものになれる人なんてあんまりいないんだから。他人を柔らかく受け入れる柔軟さ、大切なものを慈しむ気持ち、出世しないかもしれないけれどどんな会社でも可愛がられて働けるタイプじゃないかと思うのです。学校の先生は無理かもだけど、社会福祉の世界なんてどう？最終話は、むー何かのコラボなのですよね。うみの杜水族館にもこれは行ってみなくては。海獣のエピソードが好きです。2016/12/10
はつばあば
58
私が産まれた頃は「もったいない」「粗末にしたらあかん」の言葉が当たり前で成長して、中年になったらそんな言葉が聞かれなくなり、今じゃ終活に断捨離。新品の萩焼きの名あるコーヒーカップが５０円でしか買い取ってもらえない。そんなときに「金つぎ」？新鮮ですねぇその言葉。又〃駄菓子に魅かれまして「仙台駄菓子」と「松島こうれん」を検索しましたが松島こうれんは見当たりませんでした( ;∀;)。この間このシリーズでみつけた駄菓子2種類と仙台駄菓子を孫の誕生日に送ろうと。そうそう深海カフェの深海さんが顔を覗かせてくれましたよ2020/02/18
はな
48
図書館本。雷獣にまつわる話にほっこり。小さな女の子が頑張る姿がいいなって思います。付喪神の話も欠けたからといってすぐに捨てていなかった昔の日本の伝統で大切にするという心がやっぱり必要だよねと思いました。金継ぎという今ではなかなか見なくなった技法だけれどやっぱり味が出るものなのだろうと思う。2016/10/23
