内容説明
春になり、御城彼方(みじょうかなた)は大学二年生になった。ということは、常世の住人の町「幽落町」に住み始めて二年目ということだ。のんびり、キャンパスを歩いていたところに轟くエンジン音とともに、ハーレーに乗った漆黒のライダーに連れ去らわれてしまう。ライダーの正体は元医者の都築で、彼方を人質に「幽落町」下宿アパートの大家水脈(みお)さんを、東京江東区の古い病院に呼び出すのだった。なぜか一緒に付いてきた猫目さん、真夜(まよ)さんも一緒に、都築が見せたもの。それは桐箱に入った「枕」だった……。 レトロな東京の街を中心に展開される、ほっこり懐かしい謎ときものがたり。重版御礼の、シリーズ第6巻!
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
夢追人009
160
桜咲き鯉のぼりが舞う春の季節に浮世の人・彼方君と常世の者・水脈さん&猫目ジロー&真夜の四人が異彩を放つゲスト達と共に悩める者達のケガレを払い助ける人気ユーモア・ホラー連作短編集の6冊目。『せめてひとめだけ』怖すぎる元医師・都築が患者を苦しめる枕の謎に挑む!『ぼくのふるさと』彼方君の帰省と千葉県の甘味処自慢と旅人・忍の動物助け。「きみのふるさと」はさだまさしの歌。『そらをおよぐ』紙芝居屋・蘇芳が手製鯉のぼりの憂いを晴らす話です。『せおったもの』都築&馬鹿力でスマホを壊しかねない忍のコラボによる呪いの家調査。2019/08/31
りゅう☆
107
都築が彼方を拉致?ケガレの枕を使った患者は病状が悪化するも『せめてひとめだけ』と願う桜は見つかるのか?水脈と彼方は千葉へ里帰り。おじいさんアヤカシが終の棲家である『ぼくのふるさと』での平穏と健康を祈りつつ、水脈と忍の羊羹対決は如何に?!相手の思い出を視れる蘇芳にヒントをもらい、紙で作った鯉のぼりの願いが叶い、思い出が完結する『そらをおよぐ』。怪しい霊能者を見事撃退、都築と忍の漫才コンビが新しい『せおったもの』。登場人物総出で水脈の存在感が薄かったしホラー感ないけど、小休止な感じのほのぼのさもよかったです。2017/08/28
ひめありす@灯れ松明の火
74
そうか彼方君。君は千葉ニューに住んでいるのか。意外とご近所じゃないか。千葉ニューは北総線だから電車賃高いよね。その衝撃のお値段たるや独り暮らしできそうだもんね!奇跡の原っぱ知ってる?とご近所さん意識高まる一一冊。特級の羊羹が美味しそうで食べに行きたくなりました。喧嘩せず味わって食べてね。激動の一年が過ぎメンバーも固まりつつ安定の二年目シーズン。女っけのないお話しだし、彼方君も彼女が欲しいとかそういう希望は『まだ』ないみたいだけれど、こういうタイプは意外と禁断の叶わない異種婚姻譚みたいな恋に転がり落ちそうだ2016/07/25
ううち
43
第6弾。千葉を散々デスっていたジローが水脈さんの出身を聞いて慌てたり、水脈さん以外にはツンツンで相変わらず可愛い。真夜さんがとうとう犬小屋になって笑った。思いもよらぬ2人の初対面は面白かったです。新興住宅地は注意が必要ですね。なぜだかとっても羊羹が食べたくなります。羊羹の丸かじりは憧れて試したことがありますが、様々な後ろめたさでいっぱいになります。2017/01/16
ありす
35
『せめてひとめだけ』『そらをおよぐ』が良かった。特に鯉のぼりの話が好き。都築が良いことをしようと奮闘したり、彼方たちに対してツンデレな感じも良い。忍とのコンビも悪くなさそう。【シリーズ6作目】2021/09/30