内容説明
現世と隔絶された山村「鬱墓村」で起こる連続聖歌見立て殺人に、犯人を推理する今日子、手口を推理するみづき、動機を推理する茉莉衣の「探偵養成学校三人娘」が挑む。語り継がれること必至の最上級本格ミステリ。
※本書は、二〇一三年十月に小社より刊行された単行本『背徳のぐるりよざセーラー服と黙示録』を改題・修正のうえ、文庫化したものが底本です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
W-G
341
かなり満腹感あるコッテリした本格。解決編だけで中編一本くらいのボリュームがあり、解決のはずが逆にこんがらかりそうになる特盛感。オマージュは感じられるものの、横溝のようなドロドロした雰囲気はなく、ライトな人物観と現代的な会話で、それでいてそれほど読みやすい訳でもなくドッシリ感がある。前作の長い助走から一気に盛り上がった。3本立ての解決編はかなり面白い。古野みずきのハウダニット部門はあっさりめだったが、ホワイダニットからの導入とフーダニットでの対決場面はかなりテンション上がる。しばらく古野作品を読み続けそう。2017/04/23
yumiDON
50
セーラー服と黙示録シリーズの第2弾。物語しょっぱなから枢機卿がよからぬ企みをしていて、不穏だ。三人娘は、春期合宿で鬱墓村へと連れて行かれる。言わずと知れた本家を思わせる様々な要素にニヤリとしつつ、サスペンスも冒険もありで面白く読みました。文体はかなり軽めですが、それとは裏腹にかなりカッチリとしたロジカルな推理、堪能致しました。2017/03/11
ゆんこ姐さん@文豪かぶれなう
50
セーラー服と黙示録シリーズ第二弾。聖アリスガワ女学校。海の孤島、カトリック系探偵養成学校、その裏で奇跡を作ろうする校長ーー。学園で行われる春季合宿。事前課題と現地課題を与えられチームを組んだのは3年生のお姉さま二人、1年生の後輩二人、主役の2年生の少女三人。現地課題では、学校が徹底的に現地に設定したRPGの中で探偵活動を行う。富山村という僻地を訪れようとするも、配られた事前資料に見えるのは薄羽ヶ村ーー繰り返される鬱墓伝説。気づけば少女達は薄羽ヶ村で昏倒しており、二人の軍兵を毒殺したということになっていた。2016/02/01
ゆんこ姐さん@文豪かぶれなう
35
さすが、1200円の分厚さよ…読み応えたっぷり。さて、再読、二回め。結構覚えてたので、前回の復習的な感じで。昭和時代。戦争が未だ続いていると思い込んでいる、閉鎖されたカトリックの村に突如投入された、フーダニットの島津今日子、メガネメガネ…。ハウダニットの古野みづき、無神論者にしてあのエロコアラの妹。ホワイダニットの葉月茉莉衣、お姉さまのといけないことしちゃうの♡他女学生四名。見立て殺人テーマの一冊。自分がカトリックもプロテスタントも経験してるからこのシリーズは読みやすい。2017/02/14
geshi
35
横溝ガジェットや小ネタを満載しつつ、純粋論理のみが通じてしまう鬱墓村という世界を、付け入る隙が無いよう作り込む徹底ぶり。ミステリにおけるルール作りは厳格であるべきだが、戒律と言っていいレベルまでやってしまうのが、古野まほろの凄さ。読者を篩にかける長々とした前フリあってこそ謎解きが生きる。ホワイダニットにおいて解き明かされる捻れは不合理が理に落ちるカタルシスを味わうし、フーダニットでは犯人を追い詰める正直村のパズルを堂々とやってのける大胆さに唖然とする。2016/04/05